第10話『民を護る為に〜ティグルの新たなる出発』
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獅子王凱は夢を見ている。今、自分は過去の記憶に浸っている。
この夢は、第二次代理契約戦争と呼ばれるようになる、悲しい戦い。
今、自分がいる場所は、一言で形容して虚無。
大陸を離れ、母なる大地を見下ろせる場所。暗く、絶対零度の空間。
翼を広げ、見下ろした先には一つの「星」が見える。小さく美しい青い星が見える。
元宇宙飛行士であった獅子王凱には、何度も命を懸けてきた場所。馴染みのある「そこ」は、もはや古巣といってもいい。
今まさに、大気圏内の生物の生存できない宇宙空間で、悪魔契約によって導かれた「光」と「影」は、互いの存在意味をかけて戦いを繰り広げていた。
その姿は常闇。最恐の黒竜。大陸の心臓。戦争というシステムの具現化。その名はヴァルバニル。
黒炎神剣を差し込まれ、黒竜はヒトの業の集大成によって操られている。元凶の名はシーグフリード=ハウスマン。
もうひとつ、影がある。
その姿は漆黒。最強の獅子。時代を蹂躙する獅子王。最強の破壊神にして最後の勇者王。その名はジェネシック・ガオガイガー。
時代の神剣を携えて、破壊神は人類の希望の集大成によって起動している。希望の名は獅子王に迫る!
――愛している世界がある!この時代を守りたいんだ!――
ヴァルバニルの吐き出す漆黒の波動炎が!ジェネシックのフェイスガードをかじりとり、獅子の胸部を焼き払う!
だが、その巨体の勢いは削がれず、ジェネシックはガジェットフェザーでさらに加速する!
流星のように躍りかかったジェネシックの神剣は、まっすぐヴァルバニルをシーグフリードごと貫いた!
悪によって生み出された悪。
彼、シーグフリードは、必要とさえされなかった悪。
自分の居場所が分からず、矛盾に耐えきれず、世界を作り替えようと、ハウスマンの意志を継いだ。
生命ですら契約で更新できると思いあがった人類。
存分に殺し合う。黒竜の吐き出す黒き憎悪の霊体に、人類は完全に弄ばれた。
それは果たして、彼の黒竜が本当に望んだことなのか、人類が望んだことなのかは分からない。
若しくは、シーグフリードが一番に望んでいた事さえも、分からない。
――夢は、ここで終わった。――
『アルサス・中央都市セレスタ・ヴォルン邸の裏庭』
オージェ子爵を味方に引き入れて、一時的にティグルの帰還が成った頃。
いつもの通りに、凱は文字の読み書きと計算を子供達に指導していた。
正確に言えば、数字の読み書きと計算だ。今日はそれが課題だ。
同じ科目では飽きてしまい、学習意欲を失せてしまう。子供が興味を持ってくれそうな教え方を気に留めて、凱は常に念頭に置いている。
緑の髪の少年、天海護がいれば、今
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