第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#8
FATE TO PHASE
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「久しぶりね? “ジョジョ” ここまで無事でなによりだわ」
正に女神の囁きとしか想えない美しい声で、その女性はジョセフに言う。
「おいおい、ジョジョはよしてくれ。ワシももう70じゃぞ」
「フフフ、幾つになっても、私にとってアナタは可愛いジョジョよ」
親と娘、祖父と孫にも見られかねない奇妙な 『親子』 の会話が、
二人の間で交わされた。
「シャナも、久しぶりね。また随分強くなったんじゃない?
ジョジョとシーザーみたいに、私が直接鍛えられないのが残念だわ」
「……」
膝を折って告げられた言葉に、珍しくシャナは頬を紅潮させて俯いた。
まるで母親に誉められて、嬉しさの余り恥ずかしがる子供のようだ。
その中で唯一冷静さを保って発せられる、胸元の声。
「長らく不調法している。尊顔麗しく大慶極まりなし、大奥方」
「いいえ、アナタも元気そうでなによりだわ。アラストール」
「む、御厚情、心より痛み入る」
紅世真正の魔神 “天壌の劫火” アラストールに、
ここまで云わしめるこの女性。
『エリザベス・ジョースター』
嘗て、ジョナサン・ジョースターとディオ・ブランドー、
破滅と宿命の最終決戦の場から唯一救い出された奇蹟の赤子であり、
ジョセフ・ジョースターの実母。
その正体は、世界中に散らばる波紋組織を一手に統括する
『最強の波紋使い』
50年以上前、アノ恐るべき 『柱の男』 より
この世界を救ったジョセフを遙かに凌ぐ波紋能力を有し、
数多の奥義や秘儀もその身に体得している絶対者。
最強の最強足る由縁、桁外れの波紋能力により
その美貌は齢100過ぎて衰える所か深まる一方。
正に生ける伝説、人間の歴史と叡智が生み出した生命の芸術品。
その存在を眼の前にしては、如何に紅世の王と云えど畏敬の念を
抱かずにはいられなかった。
「さて、ようやく可愛い坊やに逢えたわ。
しばらく見ない間に随分良い男になったわね。承太郎」
そう言って無頼の貴公子の前に立った貴女は、
その整った顔筋を滑らかな指先で慈しむように撫ぜる。
通常他の女性がこんな真似をしたらお決まりの一喝が轟く所だが、
その承太郎ですらエリザベスの振る舞いには
魔法にかかったの如く微動だにしなかった。
「私のあげた “鎖” 正しい事だけに使っているようね?
込めた波紋に微塵の淀みも視られないわ」
「それの御陰で色々と窮地は凌げてるよ。
曾祖母、いや、 “リサリサ” 」
「そうそう、それで良いのよ。可愛い坊や」
一瞬、本当に一瞬だが絶対零度に張り詰めた気配を溶かし、
楽園の陽光のような笑顔でエリザベスは承太郎を抱いた。
その後、緊張する花京院に初見の挨拶を終え、
改めてエリザベスは四人に向き直った。
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