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STARDUST唐eLAMEHAZE
第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#8
FATE TO PHASE
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サマもきっといっぱいいっぱい褒めてくれる」
 ラバーソウルの肩から降りた最愛の兄が、
屈託のない笑顔で手を引く。
 そのまま集まった異能者達の前に出たティリエルは、
「皆々様……本当に、本当にありがとう御座います……!」
豪奢な金髪を前に流し深々と頭を下げた。
 顔を上げなくても、そこにいる全員が、
それぞれの様相で微笑んでいるのが解った。







【2】

 
 海峡都市特有の喧噪で包まれる港の一画は、静寂で充たされていた。
 ある財団の特別規制区域の為、関係者以外は立入禁止。
 作業服姿で職務に励む者を除けば、広い埠頭に佇む者はたったの4人。
 その彼等の前には、全長300メートルを超える超豪華客船が傲然と碇泊していた。
「やっぱり、ちょっと心配だわ。
ヴィルヘルミナに変な事してないでしょうね、あの銀髪」
 香港とは毛色の違う海風をその肌に受けながら、黒髪の美少女が呟く。
 大好きなメイド姿の淑女は、昨日のスタンド戦の傷が癒えていない為
(信用ならない) 護衛と一緒にホテルでお留守番だ。
「なら待ってりゃあ良かったじゃねーか。
そんなに時間もかからねーんだしよ」
 彼女の脇で無頼を絵に描いたような貴公子が無駄のない口調で返す。
「だって、やっぱり気になるでしょ。
いきなり新しい 「仲間」 が来るって言われたら。  
ま、あの “バカ犬” じゃないって聞いて、一安心だけど」
「まぁ、確かに。アイツじゃなければどんな者でも頼もしい味方じゃな」
「何にしても、仲間が増えるのは心強いですよ。
DIOの送り込むスタンド使いも、
どんどん強力になってきてますからね」
 少女の言葉を受けて右隣の屈強な老人が悪戯っぽい顔で笑い、
一歩引いた所で佇む中性的な美男子が穏やかな微笑を浮かべて言った。
「お、噂をすれば出てきたようだぞ? あれは?」
 客室へと続く両開きのドアが開き、その中から姿を表した者。
「!」
「!?」
「!!」
 四人中三人がそれぞれ驚愕を露わにする中、
その人物は優雅な足取りで長いタラップを降りてきた。
 やがて目の前に立ったのは、
絶世の美女という表現も色褪せる、悠麗の貴女。
 背にかかる黒髪と青い瞳、黄金比の均整が取れた長身。
 着ているブラウスもスカートもシンプルなものだが、
余計な装飾はただその美貌を翳らせるだけ。
 長い外套を纏った崇高な気配、
存在自体が光を放つようなその姿の前には、
碇泊している豪華客船など背景にすら成り得なかった。
「か、母さん!?」
「エリザベス!?」
 ジョセフは驚嘆、シャナはそれに歓喜を滲ませて声を発する。
「……」
 流石に承太郎は無言だったが、
その顔に動揺が見られるのは明らかだった。

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