第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#8
FATE TO PHASE
[5/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
で」
若干潤んだ瞳で紡がれる、この世ならざる甘美な声調にホルホースは想わず息を呑む。
そして帽子の鍔で目元を覆い、しばしブツブツ言いながら長考した後。
「あぁ〜! もぉ〜! 解ったよ!
オレも行きゃあいいんだろう!
行くよ! 行きますよ! チクショウ〜!」
自棄になったようにそう言い捨てた。
「え? あ、あの、無理はしなくて良いんですのよ。
確かに護衛は多い方が助かりますが貴方にも事情が」
これまた予想しなかった行動へ戸惑う少女の前に、
バッと開いた手が向けられる。
「この 『皇 帝』 のホルホースを、見くびってもらっちゃあ困るぜ。
オレはな、そう、オレは 『世界一女に優しい男』 なんだッ!
相手が美人だろうがブスだろうが人間じゃあなかろうが関係ねぇ!
女を 「尊敬」 しているからだ!
そのオレが困ってる女の子を見捨てたとあっちゃあ
男が廃るってモンだぜッ!」
何故か冷や汗を全身に滲ませながら告げられた言葉に、
少女は気圧されるように頷いた。
「はぁ。では、よろしくお願い致します。
くれぐれも、無理はなさらないでくださいね」
「おぉ〜よ! 大船に乗ったつもりでいてくんな! お嬢さんッ!」
油の切れた機械のように、ぎこちない仕草で胸に拳を置いたホルホースに、
どこまで信用出来るやらとジョンガリ・Aが微笑を漏らした。
「さて、それで貴様はどうする?
来るのか? 来ないのか?」
自分達の介入で半ば無視される形になっていたシュドナイに、
ジョンガリ・Aがテーブルに片手を付き、挑発的に訊いた。
「口のきき方に気をつけろ」
普段は階級になど拘らないが、
しかし異能者であっても人間を格下に見ている
シュドナイは険呑な雰囲気を滲ませて言う。
「フッ、ヴァニラ・アイスに躯は疎か
心まで消し飛ばされたという噂は本当のようだな?
紅世の “王” とかいうのも、大した事はなさそうだ」
このあからさまな挑発には、
半分事実であるが故にシュドナイは勢いよく立ち上がった。
「殺されたいか……ッ! たかが人間風情が……!」
「殺れるものなら殺ってみろ? 異界の虫ケラ風情が」
額と額が密着する程の超至近距離で、
スタンド使いと紅世の王が睨み合う。
正に一触即発。
すぐさまに邸全域を崩壊させるほどの
凄絶な異能戦が始まってもおかしくない。
「まぁまぁ、味方同士で止めとけよぉ〜。
ヤツ等に勝つならチームワークは大事だぜぇ〜」
咄嗟に止めに入った少女の心中とは裏腹に、
妙に安穏とした声がその場に流れた。
肩に手を置かれたシュドナイが振り返った先にいたのは、
『自分』
何をどうしようが間違えようのない存在が、
口の端に煙草を銜えて佇んでいた。
「き、貴
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ