第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#8
FATE TO PHASE
[3/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
の口元をナプキンで丁寧に拭ってやった。
「奴等が逗留している地は、まだ他の徒の襲撃を受けていないのは調査済みですし、
それにフレイムヘイズ以外の異能者が多い事は貴方も承知の通りでしょう。
貴方ならその存在を喰らい、自らのモノにするのも可能ではないですの?」
「ふん、確かに、な」
可能性の一つしては考慮していたが、様々な事情で試せなかった行為に
シュドナイは思考を巡らせる。
その背中を押すように、少女は男に意趣を返した。
「それに、今のままではあの 『亜空の瘴気』 にしてやられたまま。
再戦も奮起も示さないのであれば “仮面舞踏会”
“将軍” の名が泣きますわ」
「き、貴様ァッッ!!」
余裕ぶっていた風貌が一瞬にして歪み、
シュドナイはテーブルを叩いて立ち上がった。
食器類が一度浮かんで耳障りな音を掻き鳴らし
コーヒーのカップが砕けて中身が零れた。
(デザート類はソラトが咄嗟に手と口で避難させた)
封印していた屈辱が甦ったのか、今でも生々しく疼いているのか、
シュドナイは口元を軋らせて吐息を漏らし、牙を剥いてティリエルに迫る。
「……」
手負いの猛獣を目の前にしたような凄まじい脅威であったが、
少女は気圧される事なく兄の手からカップを取り清楚な仕草で口に運んだ。
「私 に我鳴っても仕方ありませんわ。事実は事実。
武人ならば武功にて、汚名を払拭するしか御座いませんわね」
そう言ってティリエルは気色ばむシュドナイを窘める。
正直表情とは裏腹に胸の鼓動は早鐘を打っていたが、
精神の力で諫め表面上には出ないようにした。
これでシュドナイが乗ってくるかどうかは五分五分の賭けだったが
ティリエルは単に粗暴なだけではない、この王の思慮深さを信用した。
そこに、想定外の返答。
「 “護衛” か? いいだろう。面白い話を聞かせてもらった」
シュドナイとは全く別の男の声が、背後から到来した。
「――ッ!」
まるで気配を感じさせず後ろを取った、
驚愕に少女が振り向いた、先。
「……」
三日月状のスリットが無数に入ったシャツとパンツに、
穴の開いた銀鋲のネクタイを垂らした男がそこにいた。
シュドナイに匹敵する長身だが、
服の上からでも解るほど戦闘用に鍛え抜かれた逞しい体躯。
長い髪の左端が丁寧に編み込まれ、
両眼の縁に超越数を象った刺青が刻まれている。
シュドナイの猛威とは対照的な、張り詰めた気配。
瑠璃色の鋭い視線に胸の奥まで射抜かれるようだった。
「あなた、は?」
当然の疑問を口にする少女の声がまた別の声で遮られた。
「おいおいおいおい、止めとけよ。
『ジョンガリ・A』 の旦那よぉ〜。
面
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ