第9話『戦姫の所作〜竜具を介して心に問う』
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程度残しているらしいが、やはり凱が出向くのはありがたかった。
何より凱には、セレスタを襲う野盗ドナルベイン一派を蹴散らし、物の怪の類に誘拐されたティッタを保護し、(ある事情でティグルには伏せるよう、マスハスは住民、凱、ティッタ、バートランに伝えている)さらにテナルディエ軍侵攻からセレスタを防衛しきったという実績がある。
今の凱にはセレスタの住民と深い信頼関係が結ばれている。そして、凱は一つティッタに要望を申し出た。
「あと、教導場所はこの屋敷の裏側を使わせてほしいんだ」
「でもお金が……」そうティッタが言おうとしたとき、凱は手を振って静止させた。
「俺はただの流浪者でヴォルン家の居候だ。できる事は何でもしなければ。それに、子どもに教えるのは俺も楽しいからさ」
遠回しな言い方による、無条件と無償で教えるという条件付き?で、凱は子供達に読み書きと計算を教える事となったのだ。
――再び、ヴォルン邸の裏側へ――
獅子王凱の脳内には、あらゆる言語を介する力『翻訳器官』が存在する。
かつて、エヴォリュダーとなった際、アジャスターを務めていたパピヨン=ノワールとスワン=ホワイトの2名から、凱の秘められた力の一端を知らされた。
右脳と左脳の間にある神経細胞、さらにその細部には超越意識同調器官があり、もう一つ、イレインバーの伝達回路がある。それが翻訳器官だ。
判明しているのは、この翻訳器官は日本語を始めとした地球の世界各国の言葉のみならず、異世界での言語識解能力さえも兼ね備えているという事。
例え見慣れない文字でも、既視感のような確かな輪郭を認識させ、はっきりとした情報で凱の脳内に届けられる。
だから、学んだことのないブリューヌ文字でさえ、塾識したかのように筆を走らせることが出来る。発音も、脳内で一度日本語を原文とし、ブリューヌ語を訳文とすることが出来るのだ。
ジスタート語も、アスヴァール語も、ザクスタン語も、ムオジネル語も、例外ではない。それどころか、人間の枠にとどまらず、夜と闇と死の女神さえも例外ではない。
――凱。君に与えられた力は、君一人のものではない。人類が、これから隣人や遠い星や、異なる世界の来訪者たちと付き合っていく為に、これから獲得しなければならない力なのだ。――そう大河長官が言い与えてくれて。
――ケンカだけじゃ、これからの時代はだめだってこったな――ゴジラモヒカンのヘアスタイル、火麻参謀が激を入れてくれた。
かつての上司達のそんな熱い言葉を思い出して、凱は授業を再開した。
そして数日後、ティグル達はオージェ子爵を味方にしてアルサスへ一時帰還した。
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