第8話『戦姫集う王都〜風姫の新たなる挑戦』
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スヴァールからの侵領に警戒せざるを得ない。この2国の動きさえ把握できていれば、とりあえず心配はない。オルミュッツ、ポリーシャは出方次第だろう。ブレストは取りあえず無視してもよい。
――獅子身中の虫たる彼女の、本音はそこにあった――
ヴァレンティナがそんなことを考えていること露知らず。
ガヌロン家を交易相手としている彼女だが、「中立」という立場をしっかりと証明して見せた。だが、流石にこの発言には謁見の間がざわめいていく。むしろ、彼女はその状況を楽しんでいるように、ソフィーヤとエレオノーラにはそう見えていた。
他の戦姫達もヴァレンティナの言葉に便乗を開始した。
「我が公国は現状として、対中東勢力で警戒中です」
リュドミラ=ルリエの意見はこうだ。――ムオジネルに手を焼いているから、余所様の喧嘩に手を出すべきではない――
因縁浅からぬ、ムオジネルとの子競り合いを続いていた時期があった。現在こそ、ムオジネル軍は沈静化しているが、いつまた国境を脅かすか分からない。
それに、青い髪の少女の家系「ルリエ家」はテナルディエ公爵と80年に渡る付き合いがある。もし、テナルディエ公爵がオルミュッツ公国に支援を要請してきて、内乱を長期化させるようなら、多額の予算と資材を投入しなければならなくなる。介入には反対の立場を示した。
それに、ムオジネルは物量に任せて攻めてくるほど、遠征に関して手際が良い。最悪、オルミュッツと隣接するライトメリッツ、ポリーシャとも連合する必要性も出てくる。ブリューヌの内乱にかまけて不備の事態は避けたいところだ。
「ブリューヌから得られる利益は、我が国にも開放されます。経済的な結びを強固すべきです」
エリザヴェータの意見はこうだ。――もっと積極的に関与すべきではないかと――
実際、ムオジネル、アスヴァール、ザクスタンは、「切り取ったブリューヌがもらたすであろう利益、資源に狙点を定めている。だからこそ、列強3国は水面下での活動をしている。
事実、彼女の耳には、拠点防衛の要となるナヴァール騎士団の存在が入っている。アスヴァールとザクスタンの両国は、ブリューヌの情勢をさぐる為に小競り合いを続けている。
それに、支援するなら燃料や兵糧程度で良いと思われる。それだけなら、エリザヴェータは声だけを使えば済む。さらに言えば、他の周辺国より情勢を探る為、現地人を向こうに送り込みたいところだ。これは戦況次第なので現段階では判断しかねる。
彼女の思惑としては、テナルディエとガヌロンが別に共倒れしても、そのヴォルンとかいう貴族が勝者となるならば、戦況次第でルヴーシュと友好を繋いでしまえばよい。勝者は必ずともブリューヌの双璧を成す貴族とは限らないのだ。エレオノーラとは過去の確執もある彼女だが、なによりルヴーシュ
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