第8話『戦姫集う王都〜風姫の新たなる挑戦』
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血を分けた多くの家族たちを思い出す。
ジスタートの行く末が脱輪ではなく、せめて分岐点の延長上であるほうが望ましい……とさえ考えてしまう。
ともあれ、ヴィクトールはブリューヌ内乱における議題執行を決意し、ユージェンは全面的な支援を約束した。
『ジスタート王国・王都シレジア・謁見の間』
綺羅絢爛のような作りの謁見の間には、既に一人の王と3人の戦姫が到着していた。
凍漣の雪姫、オルミュッツ公国公主、リュドミラ=ルリエ。
雷禍の閃姫、ルヴーシュ公国公主、エリザヴェータ=フォミナ。
虚影の幻姫、オステローデ公国公主、ヴァレンティナ=グリンカ=エステス。
以上の関係者は、ヴィクトール王と共に公判を担当することとなった。
王の耳に届けられた、エレオノーラに対する書文は次の通りである。
――1つ。戦姫の独断による他国への進軍。――
――2つ。ブリューヌの領土を交戦にて占領。――
以上の状文が、有罪か無罪かを、当事者のエレオノーラに言い渡す為、エレオノーラは王都シレジアへ出廷している。
リュドミラ、エリザヴェータ、ヴァレンティナには、ブリューヌの貴族と交流がある。ブリューヌの双璧を成す貴族の片方か、あるいは両方。
ヴァレンティナを除けば、二人の戦姫の眼光は、どこか鋭いままである。
やがて、高級感漂う赤い絨毯の上を歩いてくる『降魔の斬輝』の主が、王の前に膝をついて頭を垂れた。
静粛の時間。
間もなく、エレオノーラ=ヴィルターリアの公判が始まる。
「表を上げよ」国王の発声を切り目にして、書記官は、一言一句違えることなく、ユージェンは国王の発言と戦姫の弁明を羊紙に記していく。その過程と流れを的確に。
これが、今回の会議録となり、出席者と当事者の討議による結果を随時残しておく事となる。
そして、ヴィクトールはエレオノーラの申し出を促し、形だけは聞き入れた。ただ、内容は眉を潜めるものなのだが。
「なるほど、それがそなたの申し出というわけか」
ヴィクトール王の淀んだ視線など、受け流しながら、平然とエレンは訴える。
口実は既に出来上がっている。リムと事前に口合わせを行っていたからだ。
何よりも「民を守る為に」というティグルの正当性を認めてほしいという気持ちが、彼女を確固たるものにしたのだろう。
「テナルディエ公爵は他人の領土を無法に侵害しようとし、いたずらに内乱を激化させる気配は濃厚でした。それに、理はヴォルン伯爵にこそ……」
ヴィクトール王には、その先の説明を聞くつもりなど毛頭なかった。聞くつもりがないのは、大部分の官僚達も同様である。
「結局そなたのやろうとしたことは、ブリューヌへの侵略なのだ!ともすれば、ジスタートと
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