旅立ちは彼を目指して
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…このまま、こんな奴に負けちゃうのか)
(俺には、チャンピオンなんて無理だったのか)
「-−−―!」
だけどその時、カゲボウズが鳴いた。カゲボウズは自分が本気で落ち込んだときは、その感情を食べない。負の感情を食べられれば楽にはなれるけど、それじゃ成長しないから。
だから、そんなとき相棒は鳴き声で自分を鼓舞してくれる。カゲボウズだって寒さで凍えているのに。
(……そうだ、俺は負けない)
(自分が不利な時こそ、幽雅に。美しく。それがチャンピオンの……俺のポケモンバトルだ!!)
「……凍え死ぬ?いやあ、快適な涼しさだったよ。だけど…そろそろおしまいにしようか」
ぐらつきそうな体に鞭を打って堂々と胸を張る。そして余裕の笑み…とまではいかないが平気そうな表情を浮かべて言った。
「カゲボウズ、鬼火!狙いは……俺だ!」
「な、何をする気だ!?馬鹿な真似はやめるべきだ!」
カゲボウズがサファイアを疑うことなく鬼火を自分のトレーナーに向けて放つ。凄い熱さがサファイアを襲ったが、我慢した。もしこの炎が本物の炎ならサファイアは大やけどをしているだろう。だが鬼火は炎は炎でも霊の怨念によるもの。実際の炎とは違って焼け死にはしない。カゲボウズが自分で暖を取るのを、優しく撫でてやった。ゴーストタイプのカゲボウズにとっては怨念の炎も実際の炎と同じ効果がある。十分温めることが出来た。
「へへ……これで、寒さは解消できました。」
無論、実際に熱くなっているわけではない以上一時しのぎだ。だけど、こちらもちまちまとユキワラシにダメージを与え続けている。一時しのぎで十分。人差し指と中指をびしっとユキワラシに向けて、チャンピオンを真似るように命じる。
「さあ、これでフィニッシュ!!カゲボウズ。影打ち!!」
カゲボウズの角の先から伸びた影が、ユキワラシを正確に捕える。体力の削れていたユキワラシは吹っ飛ばされ、覆面の男にぶつかった。
「うぐぐぐ……こ、ここは一度退くべきだ〜!次会ったら覚えておくべきー!!」
「あっ、おい待て!お前にポケモンを奪うように言っているのは誰なんだ!」
あっという間に覆面男は逃げてしまった。追いかけたが、寒さにやられた体では追いつけなかった。ひとまずカゲボウズと一緒に粉雪の影響の範囲外で腰を下ろす。
「なんだったんだろうな……あいつら。ティヴィル様…って言ってたけど、昔のアクア団とかマグマ団みたいなやつらなのか……?」
考えてみるが、当然答えは出ない。わかっているのは、博士の珍しいポケモンを求めて自分や他に貰うはずだった人からそのポケモンを奪おうとしていることだけで……
『むむむ……お前も、持ってないというのか』
「……あっ
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