第7話『闇の暗殺集団〜七鎖走る!』
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『ブリューヌ・ネメタクム・主要都市ランス・執務室』
七鎖―セラシュ。
それは、要人暗殺を受け持つ名うての暗殺集団。必ず7人で行動するとして知られる。
現在こそ、ブリューヌの王都はニースとされているものの、国が興る以前は、アルテシウムこそブリューヌの王都としてあり続けた。
元々そのアルテシウムが王都の時代から仕えている、セラシュはいわば王政府の密偵だった。
光を浴びる表向きの任務は警護。闇に紛れる裏の任務は諜報活動。特に諜報活動は特筆すべき点であり、日常的に官僚や大貴族、ブリューヌ全土を観察し、異常があれば報告するよう定められたと言われている。
故に彼らは影の見張り役として、ブリューヌの長きに渡る歴史と流れを、見守り続けてきた。
――全ては、ブリューヌの繁栄と平和を目指して――
例え身分が低くても、特別な役職の名目で国主に近づくことが出来たので、国主の意志を反映できる立場だった。
その特殊な任務の為、本来セラシュは功績を上げて、出世する機会に恵まれる……はずだった。
時代の流れと共に、アルテシウムからニースへ王政が移ると、治安維持の騎士団や貴族等が創設された。それに伴い、政治経済がうまく循環するようになると、セラシュもその役目を終える事となった。
活躍できる場を失った彼らはその後、新たな職に就くことが出来ず、終止符を打てないまま、時代の輪廻の中で彷徨い続けてきた。
その彼らは今、ブリューヌの双璧を成す貴族の一室にいる。
「セラシュか」
早速、テナルディエは依頼内容を説明する。任務内容を理解、承知すると、「直ちに」と言い残して音を立てず、部屋から消えていった。
ただ一人だけ、御頭を呼び止めた。
「何故私に仕える?かつてテナルディエ家はアルテシウム王制の倒世運動を行ってきた一族。アルテシウム出身の貴様らから見れば、私は復讐の対象だ。何故?」
ブリューヌ変革期における抵抗運動から始まるガヌロン家との因縁は、遥か昔から行われている。
存在の意味とアルテシウムの伝統を破壊した大柄の男は、セラシュにとってテナルディエは戦犯の血を引く愚物でしかないはずだ。
「我ら七鎖は影の末裔。主という実体がなければ存在出来ない者。影の我々にフェリックス=アーロン=テナルディエという実体が現れた。それだけの事」
軽く一礼すると、御頭も他のセラシュと同様に、音を立てずに部屋から出ていった。
10数える間くらいか、再び戸が開く。入ってきたのは、長年テナルディエ家に仕える占い師ドレカヴァクだ。
「虫を潰すのに、斧を用いるようでありますな。辺境の貴族を始末するのに、名うての暗殺集団を差し向けるとは」
「辺境の貴族だから……こそだ。むしろ、これくらい乗り越えてもらわ
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