第7話『闇の暗殺集団〜七鎖走る!』
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か恥ずかしくなった。あまりにも、素の自分を出しすぎたのではないか?もう少し、大人として気の利いた言葉が選べなかったものかと――
「ウソも悪くない時があると説明するのに、ウソをつかないわけにはいかないってのも、おかしい話だよな」
凱がそういうと、ティグルは再び空を見上げた。天上に浮かぶ太陽の輝きに背を押されたかのように、ティグルはティッタに語り始めた。
「ティッタ。俺はこれからみんなに、ティッタにもいっぱいウソをつく。自分の為ではなく、みんなの為に、ティッタの為に」
「はい!ティグル様のウソは、誰かの為のウソだってことを、あたしは知ってます!」
眩しい空を見上げながら、ティグルがいかなる決意をしたのか、この時、凱もティッタも知る由はない。
そして、この瞬間こそが、『英雄へ至る伝説……そして勇者から紡がれる神話へ』の始まりであり、この輝きに満ちたアルサスこそが始まりの地であったことも……
『数刻前・中心都市セレスタ・神殿前』
話は少し巻き戻る。
宴を終えた翌日の朝から、ティグル達は町の復興に向けての作業で忙殺していた。
昨日、あれほどの惨劇にも関わらず、セレスタの住民に死者が出なかったのは不幸中の幸いだった。
事情はともあれ、ティグルヴルムド=ヴォルンはアルサスへの帰還を果たした。
だが、テナルディエ公爵のアルサス侵攻については、ティグルにとって到底納得できるものではない。領土をめぐる攻防で、負傷者まで出ているのだから。
ティグルの今後を決めるよう声を掛けたエレンは神殿へ向かい、リムに今後の予定を伝える。彼女らが率いてきた兵は、町の空き家や、神殿の内部で寝泊まりしている。
「選抜した兵はお前に任せる。国王を黙らせたらすぐ戻ってくる。それまで頼むぞ」
「エレオノーラ様は、随分と彼を信頼されているのですね?」
「お前もそうだと思ったが……ただ」
「ただ?」
「やはり、あの男……ガイの姿勢は気に入らない」
それに関しては、リムも概ね同じ意見を持っていた。
不殺。殺さず。奪わない。
個に対して全体を優先しなければならない立場のエレンにとって、凱の心情は理解できるものではない。
テナルディエ兵を延命させたことは、非常に危険な行為だ。一軍を率いる将として、結果的には味方や仲間を危険に晒す可能性は見過ごすことなど出来ない。もし、助けた敵が再び自分の命を狙うか分からない。
ジスタート軍が到着するまで、凱の撃破数は見積もって、テナルディエ軍全体の約3分の1.結果として、モルザイム平原で迎え撃った時は、当初は3倍と推測していた数字が2倍に収まった。
本来なら、自軍が有利になり、敵軍が不利になるという、喜ばしい事態のはずだった。
しかし、凱の削り取
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