第7話『闇の暗殺集団〜七鎖走る!』
[2/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ねばならぬ。」
テナルディエにとって、ティグルへ与えた境遇はいわば「課題」に過ぎない。
目測通り、ティグルヴルムド=ヴォルンはジスタート軍を引き入れて戻ってきた。
そして、我がテナルディエ軍を撃退した。それも、竜を屠ったという報告を受けて。
だからこそ思考していた。次の「課題」をぶつけるにはどうしたらいいかと――
思考を巡らせたが、結局、一去した。
理由は『何者かが』ドナルベイン一派を消滅させたとの事。ヴォージュ山脈に集会所を構える連中なら、オルミュッツに偽装して周辺貴族の圧力に使えないか、もしくは連絡係としてうまく使えないかと考えていたが、甲冑を着せる予定の連中がいなくなった為、思慮していても仕方がない。
もう一つは、時折陰湿さや狡猾さを持つテナルディエらしからぬ理由だった。
「私は品性まで売った覚えはない」
これは失礼と、くぐもった笑いを漏らして一礼した。
(いずれにせよ、ライトメリッツの戦姫を引きはがす必要があるな)
テナルディエとしては、アルサスの小僧をブリューヌの渦中に投げ込みたいところだ。一時的にライトメリッツの力を必要としていたらしいが、今後はブリューヌの為に軍を引いてもらいたいと思っている。
戦姫には、やはり戦姫しかないのか。
「戦姫の方はどうなさるので?」
「それは私の方で対処する。それから……新たな竜と、例のものはいつ頃用意できる?」
「竜の方は、いくばくかの金銭と一月程の時間を要します。ただ……」
「ただ?」
「例のものといえば……デュランダルの兄弟剣と、カヴァクなる工芸品は半年程の時間を要します」
「仕方がない。だが……頼む」
それからテナルディエは鈴を鳴らし、従者を呼びつけると金貨を持ってくるよう命ずる。やがて人頭大の袋を持ってきて、ドレカヴァクに渡すよう指示する。
それから分厚い手を振って、ドレカヴァクに退出を命ずる。音もなく退出したドレカヴァクの姿を確認すると、入れ替わるように一人の優男が入ってきた。
「失礼します。テナルディエさん」
明快な口調で親しげに話しかけるこの男、ノア=カートライト。その表情はいつも笑みを浮かばせている。
この屋敷で、不遜な態度を示せば、家族ともども即刻処刑されてしまうだろう。例外として、そのような不遜な態度をとれるのは、ノアとドレカヴァク、以下数名のみだった。
「ザイアンは何をしている?」
「ザイアン様は釈放されたものの、ネメタクム帰領へは至らず……正確には、しばらくは戻らないそうです」
そうか、とそう小さくつぶやき、情を表に出さず頭の中で振り切って本題に入る。
この結果が分かっていたからこそ、衝撃は表に出さなかった。それがザイアンの為ともなり、ヴォルンの可能性を拡大する為の計
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ