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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
第6話『想いを勇気に〜ティグルの選んだ道』
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だ。
ティグルとしても、協力してくれたジスタート軍に労いたかったし、町の人々にも明日から復興業務がある。何としても英気を養ってほしかった。
酒を飲みかわし、賑わうセレスタの一角にて、今を生きているジスタートとセレスタの両者が占領している。戦後間もないので、壊された家屋等は散乱したままだ。
それでも、勝利という歓喜が大きな原動力となり、臨時で応援に来てくれた女給さんが、忙しく酒や料理を運んでいる。
その中に元気を取り戻し、エプロン姿のティッタの姿もあった。





――宴会場はやがて一人の黄金の騎士についての話題で持ちきりになった――





たった一人でセレスタの住民を守り抜いた。
そんな話を耳にはさんだとき、エレンは我が耳を疑った。

――神話に出てくる伝説の勇者でもなかろうに、たった一人で何が出来る?腕前に自身があろうがなかろうが、三千もの敵に立ち向かうなんて、愚者の所業だぞ――

あの日のライトメリッツでの夜。ティグルが兵の賃貸を申し出た時のやり取り。エレンは不思議な気分で思い返していた。
テナルディエ軍が三千の兵を率いて、アルサスを焼き払おうとしている。
理屈でわかっていても、感情が納得しないティグルを押し止める為に、彼に叱責した言葉が彼女の心を膨らませる。
単騎掛けで、大軍に突貫する英雄が登場するのは、ヤーファ国に伝わる戦国伝。3つの国に分かつ群雄たちが、支配と絆と仁義を駆けて戦う物語だとか。
その登場人物は、赤子を脇に抱え、兵の海を掻き分けて、これ一心胆の将と言わしめたそうだ。

「エレオノーラ様はどう思われます?尾ひれがついた噂話を」

「そうだな。リム。皆が口を揃えて言うのだから、信じるしかないだろう」

「口裏を合わせているとは考え難いですし、私も信じていいような気になってきます」

「珍しいな。お前がすんなり噂を信じてしまうとは」

「それは……エレオノーラ様もでしょう」

からかうエレンの口調に、リムは口を尖らせた。

シシオウ……ガイか。

濁音の強い、姓と名が入れ替わっている、独特な名前。
あまりに固舌な名前の為、彼の名をつぶやいたとき、うまく発音できなかった。無表情なリムに珍しく笑いをもら層になったが、何とか耐えた。
まったく、何て名前だ。いっその事ガイで通せばいいのに。

「折角だから。皆が噂する「勇者様」の顔を拝みに行くとするか♪」

好奇心溢れる主をもって、リムは重い溜息をついた。そんな主の後ろを、リムは黙ってついて言った。





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





「それで領主様!黄金の騎士様は、雨あられと降り注ぐ矢を、こうババババババと捌いちまったんですわ!」

初老の男性が、大げさに語り掛け
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