第5話『蘇る魔弾!解き放たれた女神の意志!』
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――ティグルヴルムド……お前はティグルヴルムドだ――
それが……ボクの……な……ま……え?
――そう、あなたはティグル――
ボクは……ティグル?
――わたしのティグル――
あなたの……ティグル?ボクは……
――かわいいティグル――
ティグル……ティグル……それが……ボクの……ナ……マ……エ?
それは、この世に生を受け、産声を上げた時の小さな記憶。
ティグルヴルムド。まだ歳を重ねていない幼子の頃の記憶である。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
――ティグルヴルムド――
父さん?
――さあ、耕してみろ――
そう言えば、こんなこともあったっけ?
父さんから渡された鍬で、言われた通り耕したら、手がマメだらけになって僕は根をあげた。
――彼らは毎日のように畑を耕している。どんな時でも生きるために、皆やっている――
僕だって狩りをしているよ。この前なんか、こんな大きな鹿を仕留めたんだ。
――ティグルヴルムド。そなたの技量は今の歳を考えれば見事なものだ。しかし、生きる為に狩りをしているのではないのだろう――
う〜ん?よくわからないや?幼い頃の自分はそう答えた。
――なら、どうして、お前が、私がそれをしなくていいのか、分かるか?――
偉いから。僕は父さんの息子だから。そう答えたんだっけ?だってホントのことだもん。
怒られるかと思った。叱られるかと思った。でも、父さんはちゃんと理由を教えてくれた。
――いいか、私たちはいざというときの為にいる――
いざ……というとき?
――そうだ。彼らが解決できないことが起きた時、解決できるように努めるのが我々の仕事だ。――
でも、そんなことは……あんまりないんじゃ?
――ひとが多く集まれば、それだけ揉め事が増える。責任も大きくなる。このアルサスは小さいこともあって平和だが――
暖かい父の手が、ポンと僕の頭に置かれる。
――ノブレス・オブリージュ――
ノブ……レス……オグ……ジュ?
――先ほど、私の問いに対して、『偉いから』と答えただろう。それは間違ってはいない。だが、偉いから、偉くある為には相応の責任が伴うのだ――
???よくわかんないや。
――今のお前にはまだ難しいかもしれんが……忘れるな。ティグルヴルムド。主とは、領主とはそのためにいる――
朧けに映って消えた記憶。母が息を引き取った1年後、ティグルがまだ10歳の頃だった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
――どうしました?父上、大分お疲れの様子ですが……――
山へ狩りに行ったとき、俺は地竜と遭遇し,倒したという出来事を
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