無印編
ジュエルシードを求めて
決意の時
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「そうか」
なのははまだ幼い。時を漫然と過ごす俺に対して、なのははこれから一歩一歩力強く歩んで行くのだろう。
願わくば、魔法の才能という新たな道が彼女の未来を照らすことを祈って、少しだけ手を貸そう。
「なのは、キーラ。近いよ」
「うん」
「もうバリアジャケットを装備しておいた方が良い。今回のは気配が大きいぞ」
2部屋向こうの美術室と表示がされている教室から気配はある。こういった人がたくさんいる建物の中には人それ自体が居なくとも、思念が残り、それにジュエルシードが反応してしまうことがあるようだ。
「いくよ、レイジングハート!」
【OK. Barrierjacket set up】
隣で放出された、なのはの魔力が変質し防護服を編んでいく。この学校の制服を基調とした防具服と聞いたが、成る程、無骨な印象はなくどちらかというと普通の服のようだ。
なのはの放った魔力に反応してか、美術室からのっそりと巨体が出てくる。恐らくその部屋の備品を吸収して体を形成したであろうそれは、ちぐはぐな姿をしている。バケツを被り、絵の具で汚れた布で体を覆い、手にはどう見ても魔力で巨大化したであろうモップと雑巾を持っている。
「……ええと、モップお化け?」
「多分、この部屋を掃除してる人たちが代わりに誰か掃除してくれないか、みたいなことを考えてたのかもしれないな」
「確かに、美術室の掃除当番は結構大変で人気が無いの」
早速封印、と行きたいところだがここで暴れては封時結界を張っても無視できない損壊を与えてしまう恐れがある。修正力にも限度があるのだ。
「場所を変えるか」
「うん。でも、あれをどうやって外に出せば……」
「転移魔法を使う。ユーノ」
「分かった」
なのはの足元からさっと分かれ、左右両脇から暴走体に接近していく。足元をちょろちょろとする俺たちを敵、あるいはゴミだと認識したのか暴走体はモップを振り下ろしてくる。緩慢なその攻撃を容易く避け、ユーノと暴走体を挟むような位置に陣取る。
暗い校舎に緑と青の魔力光が満ち、暴走体の足元には魔法陣が展開された。
「……!」
「「転移」」
その光でバランスを崩したか、よろける暴走体を校舎の外、グラウンドへ転送するとユーノはなのはと共に残し、俺は一足先にそこへ飛んだ。
暴走体の転送先、その真上に出ると次の魔法の用意を始める。
「少し弱らせておくか」
暴走体は力を消費させておけば、なのはが封印を行う際にその負担を減らすことが出来る。毎夜のようにジュエルシードの回収をしているなのはの体力も、そろそろ限界だろう。
「《深紅の槍》……飛べ」
放出した魔力が槍を形作り、暴走体向けて放たれ
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