第4話『命運尽きず!絶望の淵に放たれた一矢!』
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い。
彼らは、始めから略奪をするつもりだ。雨後の茸の集落となど、戦争しようとする気は毛頭ない。
家屋を踏み倒し、黒煙をまき散らし、公共建物に、交通機関に、容赦のない攻撃を加えている。
金品を奪い、酒樽を奪い、何もかも奪い去る。全ては順調に行く……はずだった。
数で圧倒的に勝り、兵の練度も桁違いに高いテナルディエ兵の歩兵部隊のもとに、イークイップ状態の獅子王凱が舞い降りる。
そして瞬時に目標を固定すると、片手に携えた深緑剣のウィルナイフから光が迸った。
即ち、抜刀――
捕捉された歩兵部隊の一人は、一瞬にして戦闘力を奪われる。
鉄製であるはずの鍛えられた剣が、鎧が、盾が、まるで紙切れのように切断される。奪われたのは敵の生命ではない。戦意だった。
乱戦状態のこの状況下で、あやまたず的確に敵の部位を打ちのめした凱の戦闘力は、敵兵における戦の常識を遥かに超えていたのだ。
その凄まじい戦闘力に、敵のみならず、この戦いを遠くから見守っているティッタや、神殿の窓から覗き込んでいる人々は茫然して動きを止めた。
今、この一人の男によって、略奪と殺戮は妨害を余儀なくされていた。
だが、そうは言っても、物量と兵力は圧倒的にテナルディエ兵が断然上で、そして丘の向こうには、『2匹の竜』が控えている。凱のサイバースコープは、セレスタの郊外にいる、竜を跨る敵の指揮官を認識していたのだ。このままでは、民の心は恐怖に押し切られてしまう。
街中で赤熱銃弾や空間障壁を展開すれば、余波だけで被害が拡大する。物的被害を最小限に、敵兵の局所破壊を狙うなら、ウィルナイフか近接格闘しかない。
口を開く体力さえも無駄にできない。一刻、一分、一秒でも時間を稼ぐ。バートランが必ず領主様を連れて戻ってくると信じて。
獅子王凱は有能であっても万能ではない。ひたすら戦い、今にも挫けそうなアルサスの民の心を鼓舞し、ティッタの心を勇気づけることしかできない。
「どうした!?どんどんかかって来い!!」
俺は何かに成りたい。何かに成らなかければならない。
心がとても渇いている。何かを助けたくて。救いたくて。代わりになりたくて。
(俺を信じてくれているアルサスの人たちの為にも、俺は勇者でなければいけない。たとえどんなに小さな煌灯でも、それは決して消えちゃいけないんだ!)
アルサスの人々に燻ぶっていた希望の火が、徐々に灯っていく。それはさながら、一本一本、心のロウソクが灯っていくように。
凱の雄々しき戦いに、皆は勇気を与えられている。
「ガウにーちゃ!」
まだ発音の乏しい小さな子供が――
「ガイさん!頑張っておくれ!!」
妙齢の夫人たちが――
「ガイ殿!シシオウ=ガイ殿!」
高齢に差し
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