ブリューヌ激動編
第3話『約束の為に〜ティッタの小さな願い』
[5/5]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
」
『力』がなければ、『守りたい何か』にすがることはできない。
ただ『力』を振るうだけでは、『守りたい何か』に気付くことはできない。
凱は自分の手のひらを胸に当てる。
「守る為に力が欲しいなら、俺が『力』となる!あとは君の気持ち次第だ!聞かせてくれ!もう一度!君の本当の気持ちを!」
権力争いの道具に使われるのか、そうでないか、一途の不安は、結果的に凱の力もティッタの願いも飲み込んでしまう。
でも、守りたいと想う気持ちまでは、決して飲み込めない!少なくとも、凱はそう信じている!
「う……」
ダメ。感情が堪えきれない。
「うあああああああああああああ!!!」
ティッタは、思いのままに涙を流した。
小さな心の堤防が、ヴォルン家の侍女としての責務が、ティッタの涙をせき止めていたのかもしれない。そう思えてならない。
「力が……ティグル様の……みんなの居場所を……守りたいです……ガイさん……」
泣きじゃくる少女の背中をそっと叩いて頭をなでる。凱は小さく「絶対に……守ってみせる」と呟いていた。対してティッタは「はい!……はい!」とくしゃくしゃの涙を押し付けていた。
強い心と弱い力のティッタと――
強い力と弱い心の獅子王凱が――
二つの心を重ね合わせ、二人は新しい時代を切り開こうとしていた。
『力』は所詮、ただ『力』でしかない。
例え、凱が『人を超越した力』の振るう先が分からなくなったとしても――
ティッタの『想い』が、凱の『力』の振るう先を、教えてくれる。何度でも、示してくれる。
だから、凱は『力』を振るうのだ。やがて己の倒れるその日まで――
――そして、運命の朝を迎える――
――テナルディエ軍は、2頭の竜を引き連れて、とうとうアルサスに土足で踏み込んできた――
NEXT
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ