暁 〜小説投稿サイト〜
魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
ブリューヌ激動編
第2話『勇者対魔物!蘇る銀閃殺法!』
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か、初代ハウスマンの資料に残されていた『人ならざる者』の内の一人だ。

「それに……」

そう言うと勢いよく、顔だけ出してるティッタを詰め込んだ袋が宙を舞う。器用なことに枝を利用して袋を吊り下げた。
金貨の入った大量の袋を逆さにして、コインチョコのように金貨を頬張る。

(金貨を飲み込みやがった!?)

ごっくん。そう生々しい擬音が聞こえたのは気のせいだと思いたい。
体積が小さく、比重の最も重い個体金属を、「人間ならば」がばがば飲み込めるはずがない。
深緑に光るGストーンの輝きは、警戒を示すように強く輝きだす。

「……この『女神』、一度舐めてみたかったんだ」

ティッタに視線を向け、長い、長い、無害性の舌で彼女の頬を伝わせる。言い知れぬ感触に、ティッタの魂は凍り付きそうになった。彼女は恐怖のあまり、双眸に涙を流している。

「てめぇ!」

凱の握りこぶしが、さらに固く握られる。無意識のうちに凱の怒りの感情が、仕草となって表れる。

「というわけで、『銃』の依頼は却下♪早速だけど、正々堂々勝負しようよ」

「ティッタを人質に取っているから、俺が満足に戦えないのを承知の上で、正々堂々を言い放つか。癇に触る野郎だぜ」

「言っとくけど、僕は常に本気だよ。ただ……」

中背の青年は前かがみになって大地を蹴り、猛然と凱に襲い掛かる!

「君がまじめなだけだから!」

下手な馬車よりも断然速く突貫し、勢いを加えた拳が凱に見舞われる!――だが!!

「遅い!」

凱は体を捻らせて、ひらりと交わした。中肉中背の青年の踏み込みを見ただけで、既に攻撃の筋を読んでいた。
相手の拳打の軌道を瞬時に見切り、反撃に移る!

「俺に肉弾戦を挑むなら!ハンニバル団長の正拳突きを超える拳を繰り出してくるんだな!」

ハンニバル=クエイサー。郊外調査騎士団団長。大陸最強の二つ名を持つ禿頭の偉丈夫。60歳。
筋肉の鎧から繰り出される剛腕は岩をも砕く。その勢いは馬車よりも速い。でたらめな高齢者である。
その声からして素手で○ビル○ーツを粉砕する姿を連想する。
神剣の刀鍛冶からは「筋肉ジジイ」と揶揄される。以上。紹介終わり。
模擬戦時の凱とハンニバルの死闘は今でも伝説となっている。
だから、当然の如く凱には――

(動きが止まって見えるぜ!!)

拳を難なくいなし、返し技の蹴りの一つで軽く若者を吹き飛ばす。蹴られた青年の体はとても堅かった。

「ぐふべしぇ!!」

意味不明な発音と共に、顔から地面に倒れこむヴォジャノーイ。
優しい笑顔で凱は歩み寄り、今だ木に吊り下げられている袋詰めのティッタに声を掛けた。

「待たせたなティッタ。今降ろしてやるから」「僕ってちょっと調子に乗りすぎたかな?
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