ブリューヌ激動編
第2話『勇者対魔物!蘇る銀閃殺法!』
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戒を持たせない意味と、ティッタに信頼を示す二重の意味を込めて、獅子籠手を置いてきた。大事に預かってくれたため、おそらく場所はティッタにしか知らない。
バートランによれば、人間の容姿をしているものの、中身はかなりかけ離れているようだ。例え素手であろうとも、立ち向かうしかない。
(左手のGストーンが……疼く?ティッタのところへ導いてくれるのか?)
蛍の光のように灯るGの紋章を頼りにして、ティッタの居場所へ行くしかない。
兵士にバートランへ伝言を伝えて、必ずティッタをセレスタへ返すことを約束した。
凱にとって、ティッタにとって、バートランにとって、マスハスにとって、長い、長いアルサスの一日が、始まろうとしていた。
――そして舞台は、アルサス郊外の平原に戻る――
「ふんふふふん♪」
上機嫌にヴォジャノーイは鼻歌をかます。肩に担いでいる袋詰めのティッタの事などお構いなしに。
「んんんんんんんん!!」
「うるさいなぁ、静かにしていてくれ。久しぶりに『弓』が見れて機嫌がいいんだ」
後ろに担ぐ袋を忌々し気に見つめながらつぶやいた。
坂道を上って平地に差し掛かったところ、ヴォジャノーイは一人の人影を見つけた。
「その娘を、ティッタを離せ」
底冷えするような怒気を含めた声で、凱は青年を呼び止めた。
呼び止められた青年は、首をコキコキと鳴らして軽い口調で答える。
「なんだ、『銃』、何時の間に来てたの?」
「ふぁいふぁん?」
凱に向かって銃と呼ぶ自体既に怪しい。凱を呼び合う為のコードネームか何かと理解するしかない。
袋詰めにされて、恐怖と不安をまき散らすティッタ。凱の心には、ティッタを早く助けたいという逸る気持ちでいっぱいになる。
「一体何が目的だ?家宝の弓が欲しければ持っていけ。だから……ティッタを離せ」
凱は目の前の青年に対し、冷やかに言った。
ヴォルン家の家宝に対して、凱が「勝手に持っていけ」などと言えるはずはない。だが、ティッタの命が掛かっている以上は仕方がない。懲罰があるなら喜んで受けよう。
「それは不要な戦いは避けたいということかい?」
訝し気に問いただすが、凱の身なりを見て納得する。ティッタの身を最優先して、凱は真っ先に駆け付けたのだ。
「そりゃそうだろうね。見たところ、何も持たずにやってきたんだから。僕もそんな人間を脅して倒したところで自慢にはならない」
挑発するように長い舌を、ペロリと一回転させる。人間とは思えないほどの舌の長さに、凱の背筋は緊張で張り詰めた。
「だけどね。銃と遭遇しておきながら、何もせずに帰ったなんて言ったら、僕はドレガヴァクに怒られるよ」
ドレガヴァク。その名は確
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