ブリューヌ激動編
第2話『勇者対魔物!蘇る銀閃殺法!』
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よ、凱がユナヴィールの村へ行くことに変わりはなかった。
それから、凱とティッタは二手に分かれて行動を開始した。
まず、郊外出経験者組を凱が避難させ、そうでない女子供、老人などはティッタが避難させた。
マスハスから簡単な地図を受けとって、この村を右往左往することになった。
テナルディエ軍三千が差し迫っている事態を、セレスタ以外の町村は知らないはずだ。被害を想定すると尋常じゃなくなる。
避難は予定よりかなり遅れていた。凱が抱いていた不安が見事当たってしまったようだ。
「あまり進捗は良くないな。このままじゃ……」
村自体は思っていたより広くもないし、人口密度も高いわけではない。でも、凱の顔には違った種類の疲労が浮かんでいた。
凱の見立てでは、おそらくアルサスの住民がテナルディエ軍到着まで、避難が間に合いそうにない。
領主不在のアルサスでは、町の有力者や村長は混乱の中で動けず、マスハスの指示を受けてやっと動き出せたところだ。
それだけじゃない。アルサスで暮らしてきた人々は、外界に対する危機感はほぼ皆無である。有力者とて例外ではなかった。
さらに、遠聞にも当然疎い。普段、テナルディエやガヌロンが非道な行いをしていることについても、あまり知らないのだ。
必死の呼びかけにも関わらず、真剣さが伝わらない。
やはり、まだ見たことのないアルサス領主でなければダメなのか……
「とにかく、片っ端から知らせる。多少は強引でもやむを得ない。今は時間が命だ」
かなりの荒行為を自己提案する凱だったが、今はそれを無理でも肯定するしかなかった。なにより、このような歯がゆい経験はこれが初めてではない。
地球に機界生命体が本格的活動をしたあの頃と同じだ。
日本の首都、東京の新宿に突如出現した「EI−02」を前にして、1千万都民は混乱の極みにあった。これによって、戦闘区域における避難活動の問題解決は急須となった。
長く続いた平和の中で、いつしか危機感という認識が錆ついてしまったのだろう。
所詮、凱に出来ることはたかが知れている。それでも力及ばずながらアルサスの為に、そして何よりティッタの為に、今自分に出来ることをするしかなかった。
――彼の左手に輝く、魔物の存在を知らせている、Gの紋章に気づくことなく――
『アルサス郊外・草原平地』
アルサスを見下ろせる位置で、中肉中背の男が一人立っていた。
周りには、話し相手などいないはずなのに、何やら独り言を唱えていた。
いや、話し相手はいた。
その相手というのは、今青年の方に乗っている手乗りサイズのトカゲである。先日、とある名家に仕える占い師から提供されたものだ。
なんと、そのトカゲは、どんなに遠いところにいる相手でも話ができるという
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