ブリューヌ激動編
第2話『勇者対魔物!蘇る銀閃殺法!』
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無しといえよう。
「おはようございます!朝ごはんにしましょう!」
改めて振り返る。
――この青年こそ、昨日、野盗の首領ドナルベイン一派を蹴散らした獅子王凱なのである――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ごちそうさま……と」
両手を合わせ、食事に対する恩恵と、ティッタに対する感謝をこめてお辞儀をした。
テーブルの上に並んでいたハムを入れた卵焼きと麦のパン、ミルク、茸のスープの朝食メニューを平らげ、両手を合わせて言葉をかける。
初めて食べた彼女の料理は、とっても幸せ味だった。すごくおいしそうに食べる凱の表情は、実齢(後日紹介)より幼く見えたし、何だか赤毛の主のようにも見えた。
料理を作ったティッタとて、凱があまりにも美味しそうに食べるから、何だか微笑ましい気持ちでいっぱいになった。
「ガイさん、口元についてますよ。これで拭いてくださいな」
「あ、悪りィ」
「襟も曲がってますよ」
「あれれ?」
「寝癖もついています」
何でもかんでもティッタにされるがままの凱は、あっさりと抵抗をあきらめた。
平らげた食器を片付けながら、ティッタは凱に今日の予定を聞いてみた。
「ああ、今日はバートランさんと一緒にユナヴィールの村へ行こうと思う」
アルサスには、このセレスタの町以外に4つの村がある。首領を捕縛したから大丈夫かと思うが、ここセレスタに近い村が盗賊団に襲われた可能性は捨てきれない。念のため見ておくべきだと凱は考えている。
「ユナヴィールの村へ……ですか?」
再度問いただすような口調でティッタは言った。
「ここから北西にある村だ。昨日の盗賊団の事で少し気になってな。明日の日暮れには帰れると思う。ティッタはどうするんだ?」
屋敷を囲む策の前に、老人とおぼしき人物が、凱の視界に入る。
(……誰だ?)
気持ちを180度切り替えて、凱は視線だけを窓に見やる。かなり遠くに離れているが、凱の視力にはしっかりとらえられた。
「ガイさん、どうしました?」
「馬に乗って誰かこっちに向かってきているようだ。一人はバートランさんのようだけど、もうひとりは……」
「マスハス様!?」
あのぐんずりとした体格には見覚えがあった。それに、年相応の貫禄がある髭を。
最初、ティッタと凱は警戒したが、人物をしっかり認識すると、顔に喜びを浮かべて飛び出した。
「バートランさん!マスハス様!お帰りなさい」
数日前、雨の日の中、凱と邂逅を果たしたマスハス=ローダントと出くわしたのだった。
肩で息をしながら、二人の老人は果敢に乗り込んできた。火
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