暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
密談
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渡り、視界の中央にメーラーウインドウが立ち上がる。経った今届いたメールに短く返信を返しながら、女性は静かに立ち上がった。

雰囲気が変わったヒスイの様子に尻尾をくねらせる領主に不敵な笑みを投げかけ、女性は執務室の中を横断する。

「……けど、まだこっちにも切れる手はあるぇ、アリシャちゃん」

重厚な執務室の扉。

その向こう側から、規則正しい一人分の足音が聞こえ、消える。

思わず身構える領主を手で制しながら、狐耳の麗人はゆっくりと取っ手に手をかけた。

「隊長に匹敵する戦力、それもとびっきりや」

ばーん、と勢いよく引かれるドア。

そこに所在なさげに立っていたのは――――

「あ、あの……おはようございます」

一人の、巫女服を着た女性だった。










炎獄(テスタロッサ)》カグラ。

旧運営体時代――――あの今では伝説的なまでになった、なし崩し的になくなったグランドクエスト。

世界樹攻略戦。

それまでは猫妖精(ケットシー)に突如現れた新米巨星、《終焉存在(マルディアグラ)》レンホウとともにフェンリル部隊建て上げやケットシーそのもののために働いてくれたプレイヤーだ。

その正体があの少年が血みどろで救い上げた一人の真っ白な少女と同じく、普通ではないAIであることを知っている者は少ない。アリシャを初めとし、立場上レンと接する機会が多かったヒスイもその一人だが。

だがグランドクエストが消え、その穴埋めというように新運営体――――《ユーミル》が新マップ《アインクラッド》の追加や限界飛行時間の廃止などを経た後、すなわち世界樹攻略のために設立したフェンリル隊の存在理由が必然的にいくらか薄まった結果、それに呼応するかのように彼女との繋がりも薄くなった。

彼女は普段、レンのプレイヤーホームでとある少女のお守りとして座しているため、レンがここ、ケットシー首都《フリーリア》に来る際にも会う機会がなかったのだ。

そんな巫女が、今こうして扉の前に立っている。

その事実にちっこい領主は数秒の間固まっていたが、彼女と付き合いの深いヒスイには分かる。あのきょとんとした顔の裏では、絶対腹黒い打算と謀略が渦巻いている。

とはいえ、カグラとの絡みを話さなければ話が手を離れてどこかへ行ってしまう。

カグラはもともとそこまで話すタイプではないので、放って置いたらどこまでも沈黙を貫き通してしまう。

「あー……そんで、カグラちゃんが今回の助っ人や。正直、隊長の穴は充分埋めてくれると思うで?」

うりうり、と濡れ羽色の黒髪を撫でつけるヒスイに若干引きながら、巫女服の麗人は艶やかな声を発した。

「我が主の代わりを務められるとは思いませんが、微力を尽くしま
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