暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
密談
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。それやったら他の、例えば分かりやすいトコでマツとかで言ったらええやないの!なんでわっかりにくいトリビア知識で攻めてくるんねん!」
「やだナーヒスイちゃん。分かりやすかったら暗号の意味がないヨ」
こンのポンコツは――――ッ!と羞恥心の地雷の上でタップダンスを踊られた挙句思いっきり煽られた女性は、己の尊厳をかけて下剋上を狙う。
ALOの時間は現実とは同期していない。
現実では午前四時であるにもかかわらず高く昇った日に照らされた執務室の中。
さて、と会話をいったんリセットしてヒスイは空気を叩き直した。
「んで、一度現状を整理させとこか」
その言葉に床に雑巾のように投げ捨てられていた領主、アリシャ・ルーは、紙の山脈の隙間から付箋でも貼ってあったかのようにスルリと一枚の用紙を抜き出した。その結果不安定になった地盤のせいで紙雪崩が発生するに至ったが、この部屋にいる二人のケットシーは気にするそぶりを見せない。
アリシャは領主としての顔に戻り、大きな耳をぱたぱた動かしながら用紙の文字に目を落とした。
「といっても分かってることなんてタカが知れてるヨ。
火妖精
(
サラマンダー
)
のキャラバンがフェンリル・ラウンダーをテイミングしたケットシーに襲われたってことだけ」
「それなんやけど、真偽はどないなってんねん。画像――――は合成の可能性もあるから、最低限動画くらいは撮ってへんとイチャモンと同義やでこんなん」
「んー、一応執政部から調査団は派遣することになってるけど。……ヒスイちゃん、今回の騒動って、ぶっちゃけサラマンダー側の仕掛けたモノだと思う?」
領主の言葉に女性は肩をすくめた。
「可能性はなくもない、て感じかぇ。もっとも、その可能性自体は低いと思てるがなぁ」
今回の一件。
過激派として知られるサラマンダーにしては、取っている対応が穏健すぎる。普通ならばキャラバン襲撃を種にして戦争勃発、まではさすがにあの脳筋トカゲどもでもしないだろうが、何かしら難癖でも付けてあちらに有利な通商条約の一つでも持ち掛けてくるかもしれない。
だが、実際問題彼らが寄越したのは抗議文ただ一枚。要するに厳重注意だという、そのあってないような紙切れ一枚ぽっちだけだ。
あまりにもぬる過ぎる。いっそ気持ち悪いほどに。
「何かのブラフやはったり、の類ならかえって気も楽なんやけどなぁ」
おどけるヒスイにたまらず苦笑をこぼしながら、アリシャは言う。
「それを疑い出したらキリがないヨ。けど、これはそういう単純なモノじゃない可能性がある」
「……サラマンダー以外の種族からの、《攻撃》か?」
気付いてたんだ、とアリシャは言い、持っていた紙を適当に放り投げながら
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