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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
密談
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で作られた執務机には傷一つない。というか、もし仮に傷ついても自動修復するという、ある意味職人泣かせの最上位家具だったりする。
だがそのデスクの天板の上には辞書を十冊くらい重ねたような紙の山が山脈を形成し、一種の妖気チックなものを発していた。力尽きたように転がっているハンコと羽ペンが物悲しい努力をそこはかとなく語っている。
代わりに室内は床に転がっている菓子類を除けば、そこそこ片付いてはいる。まぁ比較対象が彼女個人が持つプレイヤーホーム――――通称ヌイグルミ地獄――――の時点で何か色々間違っているとは思うのだが。
執務室には執政部連中他、多数のプレイヤーが出入りするので片付けられないオンナ代表格のアリシャでさえ散らかせられないのだ。
だがそんな執務室の端っこに大きな寝袋(ネコ耳付き)を見つけ、ヒスイは胡乱な目つきで己が領主を見た。
「アンタまさか徹夜かぇ?」
「え、えへへ、バレちゃった……?」
チロッと舌を出すアリシャに心配九割の小言でも言ってやりたいのは山々だが、ヒスイとて彼女の立場を考えれば仕方がないとは思っている。先ほどの無駄なハイテンションも、きっと疲労ピークの先に到達した深夜テンションのハイという奴だろう。
だからヒスイは笑った。
「そーいや、待ち合わせの暗号やけど、ちょっとトリビアすぎひんか?」
「あ、気付いてくれたんだ」
「てかあの流れで気付かへんバカはそういないと思うがなぁ。……イチイが花ぁつけるんは四月。恐らくは時間指定だけど、その場合朝の四時か夕方の四時かの問題がある。けど、あんさんなら二十四時制の場合は他になんか言うやろ。したがって、四月はそのまま午前四時っちゅーことや」
すらすらと答え合わせをするヒスイに、完全にクイズを出す側の愉悦感に浸るアリシャはニヤニヤ笑いを隠しもせずに口を開いた。
「でも場所は?領主館なんてワタシは一言も言ってないヨ?」
「イチイの種小名は『cuspidata』。その意味は、鋭く尖った。アリシャちゃんが言う尖った建物なんて、こん街で一番トンガリのっぽの
領主館
(
ココ
)
しかあらへんやろ?」
どや、とアリシャに視線を戻すヒスイだが、当の彼女は目をぱちくりしていた。
あん?と首を捻るヒスイの前で頬に冷や汗を流す領主は言葉を紡ぐ。
「しゅ、シュシメイ……?」
「……待て、それ考えてのアレやないんか?」
リアルに戻った後、ネットで調べていたのが急に恥ずかしくなってくる。この抜けた領主の機転の転がりやすさを信じた自分がバカだった。
結構本気で落ち込むヒスイの前でオロオロしながらアリシャは言い訳を口にする。
「だ、だってイチイって針葉樹じゃない?ほら、尖ってるし――――」
「しかもかなり程度低い……
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