第13話 気づいた本音、残った疑問
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つい、言い返してしまった。ダメだ。落ち着かなきゃ...ここで大騒ぎしたところでメリットは無いんだから。
僕がこの時脳裏に浮かんだのは廃校を目の前にして悲しげな表情をしている花陽と凛の姿だった。
ダメだ。二人をこんな表情にさせたくないんだ!
僕は一つ大きな深呼吸をしてもう一度絢瀬先輩をしっかり捉える。
「...もしかして、この前神社で会った時に隣にいた二人の女の子の事かしら?」
「......僕は、あの子たちを泣かせるわけにはいかないんです。この廃校が、彼女たちを悲しませるかもしれないとわかっていて、僕に何ができるのか考えたんです」
「それが、あの子たちのサポートをすることってこと?」
「はい」
僕は間髪入れずにそう答え、絢瀬先輩は顔を渋める。
しばらく考え込んだ後、先輩は体勢を変えてもう一度僕の瞳を見つめ直す。
「君の気持ちはよく分かったわ。でもあの子たちの活動はこれ以上は私は許さないし、当然君が関わってくるのもこれ以上は認められないわ。貴方は音ノ木坂の生徒じゃないのだから赤の他人のはずよ。他の高校の心配をしている暇があったら自分の高校生活を見つめ直しなさい」
「ぐっ!で、ですが???」
「いい?この問題には貴方が関わるべきじゃないの?これは先生方と私たち生徒会の問題よ」
「で、ですけど......」
これ以上僕には反論ができなかった。
何かがおかしい。僕が初めて出会った時の絢瀬先輩はもっと笑顔が多くて優しく、聡明な生徒会長というイメージがあったのに今はそのイメージをまったく感じられない。
廃校という危機に雁字搦めにされている頼りない生徒会長にしか僕には見えない。
やはり...絢瀬先輩にとって音ノ木坂には特別な思い入れがあるようで、守らなきゃいけないから必死なんだ。
僕が行動するソレとは重みなんて全然違う。
そう思った。
「まぁまぁえりち、そうカッカせんの。まだ高校一年生なんやから。えりちの気迫に怯えとるで?」
さっきまで完全に空気と化していた東條先輩がポツリと絢瀬先輩を宥める様に言った。
一瞬にしてギスギスだった空気は冷え切ってしまった。
「彼にも彼なりのやるべきことがある。生徒代表として、仮令それが他校の生徒だとしてもそれは応援してあげるべきちゃうの?」
「それは行き過ぎよ希。しかも彼のやろうとしていることは廃校に直接かかわるかもしれないことなのだから応援なんてできるわけないでしょ?」
「廃校廃校って....じゃあえりちは何のために頑張ってるん?」
「もちろん決まってるわ。お婆様の大切なこの学校を守るためよ!」
「じゃあ君はどうなん?高橋
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