ブリューヌ激動編
第1話『流浪の勇者〜彼は愛故に戦えり』
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じる。
ティッタも、バートランも、このセレスタの、いや、アルサスの人々も、凱にいてほしいと言っている。
――あとは……俺の心次第か――
そう思ったとき、凱は決意を固めていた。
「……ティッタ」
再び後ろに振り向いて、凱はふんわりと微笑んだ。
「は、はい?」
「これから寝る場所を探すのも疲れるし、何より路銀も付きそうだしな」
「えーと……じゃ、じゃあ?」
それ以上の言葉は無用だった。なぜなら――
あまりの遠まわしの承諾に、ティッタは戸惑いを覚えた。でも、それ以上に嬉しかった。
「寝坊もしちまうし……寝起きもよくないし……」
「それだったら、ティグル様も負けてませんから」
己の主の特徴を、誇らしげに紹介した。
「みんなの前で、お腹が鳴っちまうし……」
「大丈夫です。あたしが責任もってガイさんのお腹を見張りますから」
「ティッタの着替えを除いちまうかもしれないぜ」
青年のセクハラ発言に対し、ティッタは不適に笑って受け流す。
「大丈夫です。そういう時は……こうしてあげますから……えい!」
かわいらしい声が響いてきて、凱の腹部を硬いものが叩いた。
「ぐはっ!!」
強盗どもをねじ伏せた青年を、ティッタはなんと一撃で倒してしまった。
完全に気を抜かしていた凱は、腹部の中身まで浸透されるのを感じ取り、盛大に後方へ倒れた。
どうせ少女の拳なんて……とタカをくくったのがいけなかった。
ティッタも、家事という戦場を持つ身。ヴォルン家に対しては一家言を持っている。だが、避けるか受け止めるかしてくれるだろうと思っていたけど、結果は見ての通りとなった。
「すげぇ!ティッタお姉ちゃん!」
男の子が大いに驚いて――
「なんじゃ、ティッタちゃんが最強じゃないかぇ」
老人夫婦が青年とティッタの評価を改めて――
「こりゃ、敵兵の千や二千はおいはらってくれそうだわい」バートランがさらにまぜ返す。
あははと、その場に集まっていた者達が一斉に大笑いする。
羞恥心で顔を赤くしたティッタが、青年に罵声を叩き付ける。
「ガイさんのばかぁぁぁぁぁぁ!!!」
今日も今日とて、アルサスは概ね平和になりました。
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