ブリューヌ激動編
第1話『流浪の勇者〜彼は愛故に戦えり』
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た先には、血生臭い光景が繰り広げられていた――――
一人の大男が大剣で、街の警備兵を相手にして無双していた。
大柄でかつ鍛え上げられた体躯、卑しさと凶暴さをうまく組み合わせた目つきと、濃厚なフルセットのひげ面は見るもの全てを圧巻させる。
「我こそは最強の戦士!獅子王の生まれ変わりなり!この剣が血で渇きを潤したいと輝いておるわ!」
巨剣を振り回す男は獅子奮迅の働きをしていた!
獅子王を自称する男は、剣を失った警備兵、戦意を失った警備兵も、見境なく獅子の牙を向ける!
「つ……強すぎる!ぐああ!」
「この強さ……まさに獅子王だ!がはぁ!」
大男は、力と重量と暴力で相手をねじ伏せていく。
英雄譚から飛び出てきた存在を前にして、兵士たちは腰が引けていく。
「つまらん。もっと殺しがいのある得物はおらんのか!?」
並みの兵士では抑えようがないのは判明していた。警備兵は応援部隊を呼ぼうとしたとき――
「やっと見つけたわ!みんなから集めたお金を返して!」
真剣な面持ちで少女は、大男に声を張り上げる!
「ほう、貴様はあの時のヴォルン家の侍女か。この金貨の礼もまだ言ってなかったな」
「お願いです!それを返してください!でないと!」
「でないと……なんだ?」
男は語尾に怒気を含めると、少女は恐怖の念に囚われた。
栗色の髪の少女は言葉を詰まらせつつも、懐から短刀を取り出した。
普段果物の皮をむくのに使う程度の刃物だが、今の少女にはそれしか対抗できる獲物はない。
「ははははは!脅しのつもりか!?そんな短刀では猫一匹殺せんぞ!」
一瞬だけ、少女は短刀を鞘に戻しつつも、瞳に決意を灯らせて再抜刀する!
「やああああああ!!」
まっすぐに短刀の切っ先を突き刺すも、大男に簡単にあしらわれてしまう。
少女の持っていた短刀が空しく宙を舞い、空しく地面に突き刺さる。
「ふははは!死ねい!」
大剣が、慈悲なき刃が少女の首筋を捕える!
――ティグル様!!――
大剣の脳天唐竹割が少女のツインテールの頭を捕えた時、一陣の銀閃が少女を連れ去った。
「きゃっ!」
一陣の風の正体は、くすんだ赤い領主ではなく、腰まで伸びる長髪、自分と同じ色の髪を持つ青年―凱―だった。
お姫様だっこの要領で少女を抱きかかえ、凱は大男の視界の隅っこに避難する。
振り降ろされた大剣の一太刀は、空しく造作物を斬り裂いただけだった。
「無茶をするな。果物ナイフで大剣に立ち向かうなんて」
「あなたはさっきの……」
優しく凱が注意するも、ギロリと大男
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