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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
ダークリパルサー
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、リズベットの後ろから、その声がした。
「リズベット」
名前を呼ばれて、全身ぴくりと震えた。柔らかく、穏やかで、少年の響きを残したその声。
きっと幻だ。ここにいるはずがない。そう思いながら、涙を
拭
(
ぬぐ
)
いもせず、リズベットは顔を上げ振り向いた。
キリトが立っていた。黒い前髪の奥の眼に、彼なりの痛みに耐えている色を浮かべ、あたしを見ていた。あたしはしばらくその瞳を見つめ返し、やがて震え声で
囁
(
ささや
)
いた。
「……ダメだよ、今来ちゃ。もうちょっとで、いつもの元気なあたしに戻れたのに」
「………」
キリトは無言のまま一歩足を踏み出し、右手をこちらに伸ばそうとした。リズベットは小さく首を振ってそれを拒んだ。
「……どうしてここがわかったの?」
訊くと、キリトは首を巡らせ、街の中心部を指差した。
「あそこから……」
その指の先、遥か彼方にはゲート広場に面して建つ教会の
尖塔
(
せんとう
)
が建築物の波の上に頭を出していた。
「街中眺めて、見つけた」
「ふ、ふ」
涙は相変わらず密やかに流れ続けていたが、それでもキリトの答えを聞いて、リズベットは
口許
(
くちもと
)
に笑みを浮かべた。
「相変わらず無茶苦茶だね」
そんなところも……好きだ。どうしようもないほど。
再び
嗚咽
(
おえつ
)
の衝動がこみ上げてくるのを感じた。それは必死に抑えつける。
「ごめん、あたしは………大丈夫だから。速くアスナのとこに戻ってあげて」
それだけどうにか言って振り返ろうとした時、キリトが言葉を続けた。
「俺……、俺、リズにお礼が言いたいんだ」
「え……?」
予想外の言葉に途惑い、彼の顔を見つめる。
「……俺、昔、ギルドメンバーを全滅させたことがあって……。それで、もう二度と、人に近づくのはやめようって決めてたんだ」
キリトは瞬間、
眉
(
まゆ
)
を寄せ、唇を噛み締めた。
「……だから普段は、誰かとパーティー組むのは避けてるんだ。でも、昨日、リズにクエストやろうって誘われた時、なぜかすぐにOKしてた。1日中、ずっと不思議に思っていた。どうして俺はこの人と一緒に歩いてるんだろうって……」
リズベットは胸の痛みも一瞬忘れ、キリトを見た。
それは……それは、あたしが……
「今まで、誰かに誘われても、全部断ってた。知り合いの……いや、名前も知らない奴でも、人の戦闘を見るだけで足が
竦
(
すく
)
むんだ。その場から逃げ出したくてたまらなくなる。だからずっと、人が来ないような最前線の奥の奥ばっかりこもってさ。……あの穴に落ちた時、1人生き残るより死んだほうがマシだと思ったの、嘘じゃないんだぜ」
微
(
かす
)
かに笑みを浮かべる。その奥に底知れない自責の色を見た気がし
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