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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
決死の脱出
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ち1つは自分で持っていたものだ、と内心で呟くが、俺はその呟きを口に出すことはなかった。
「アイテム所持容量は有効利用しないとな」
キリトは手早く武装を解除し、左側のベッドロールの中に潜り込んだ。リズベットもそれに
倣
(
なら
)
い、マントとメイスを外して袋状の布の間に体を滑り込ませる。
自慢するだけあって、確かに中は暖かかった。その上見た目よりは随分フカフカと柔らかい。
ランタンを間に挟み、1メートルほどの距離を置いて3人は横たわった。
……なんだが、妙に照れくさい。
気恥ずかしさを紛らわすように、リズベットは言った。
「ね、さっきの話、聞かせてよ」
「ああ、うん……」
キリトは両腕を頭の下で組むと、ゆっくりと話し始めた。
話そうとする直前に俺の顔を伺ったが、俺は寝た振りをしてその場を逃れ、完全にキリト1人だけに任せた。
迷宮区で、故意にモンスターを集め、他のプレイヤーを襲わせるMPKの話。攻撃力は低いが異常に硬いモンスターと、交代で仮眠しながら丸2日戦い続けた話。レアアイテムの分配をするために100人でサイコロ転がし大会をした話。
どの話もスリリングで、痛快で、どこかユーモラスだった。そして、全ての話が、明らかに告げていた。キリトとネザーが、最前線に挑み続ける攻略組であることを。
でも、そうであるならば……この人達は、その肩に数千のプレイヤー全員の運命を背負っているのだ。こんな、リズベットなんかのためにその命を投げ出していい人ではないはずだ。
リズベットは、体の向きを変え、キリトの顔を見た。ランタンの光を照り返す黒い瞳が、チラリとこちらに向けられた。
「ねぇ……キリト。聞いていい?」
「なんだ?」
「なんであの時、あたしを助けたの……?助かる保証なんてなかったじゃん。あんたも死んじゃう確率のほうが高かったはず。それなのに……なんで……?」
キリトの口元が一瞬、ほんの微かに強張った。しかしそれはすぐに解け、穏やかな声が答えた。
「……誰かを見殺しにするくらいなら、一緒に死んだほうがマシだ。それがリズみたいな女の子なら 尚更なおさら、な」
「……バカだね、ほんと。そんな奴いないわよ」
口ではそう言いながらも、リズベットは不覚にも涙が
滲
(
にじ
)
みそうになっていた。胸の奥が、どうしようもなくギューっと締め付けられて、それを必死に打ち消そうとする。
こんなに馬鹿正直で、ストレートで、温かい言葉を聞いたのは、この世界に来て初めてだった。
ううん、元の世界でもこんなことを言われたことはなかった。
不意に、胸の奥にここ数ヶ月居座り続けていた恋人しさ、寂しさの
疼
(
うず
)
きのようなものが、大きな波になってリズベットを揺さぶった。キリトの温か
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