暁 〜小説投稿サイト〜
Sword Art Rider-Awakening Clock Up
リズベット武具店
[6/13]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
いた。

「それもそうか。じゃあ……」

細い剣帯ごと背中に吊った片手剣を外し、リズベットに差し出してくる。

「この剣と同等以上の性能、ってことでどうかな」

見たところ、そう大した品には見えなかった。黒い革装の柄、同色の鞘。しかし、右手で受け取った途端……

重い!!

危うく取り落としそうになった。恐ろしいほどの要求筋力値だ。リズベットも鍛冶屋兼戦槌使いとして筋力パラメータは相当上げているが、この剣はとても振れそうにない。

恐る恐る刀身を抜き出すと、ほとんど漆黒に近い色の肉厚の刃がギラリと光った。一目でかなりの業物だと知れる。指先でクリックし、ポップアップメニューを表示させる。カテゴリー《ロングソード/ワンハンド》、固有名詞《エリュシデータ》。製作者の銘、無し。ということは、これはリズベットの同業者の手になるものではない。

アインクラッドに存在する全ての武器は、大きく2つのグループに分けられる。1つは鍛冶屋が制作する《プレイヤーメイド》。もう1つが冒険によって入手できる《モンスタードロップ》だ。自然な成り行きとして、鍛冶屋はドロップ品の武器にあまりいい感情を抱かない。勢い、無銘やノーブランドなどと、 揶揄的やゆてきな呼び名も横行することになる。

だがこの剣は、ドロップ品の中でもかなりのレアアイテムだと思われる。通称、プレイヤーメイドの平均価格帯の品と、モンスタードロップの平均出現帯の品の質を比べれば前者に軍配が上がるが、時々こういう《魔剣》が現れることもある……らしい。

とりあえず、リズベットの対抗意識は大いに刺激された。マスタースミスの意地にかけてもドロップ品に負けるわけにはいかなかった。

重い剣を男に返すと、リズベットは店の正面奥の壁に掛けてあった1本のロングソードを外した。半月前に鍛え上げた、今のところリズベットの最高傑作だ。鞘から抜き出した刀身は薄赤く輝き、仄かな火焔(かえん)を纏っているかのように見える。

「これが今うちにある最高の剣よ。多分、そっちの剣に劣ることはないと思うけど」

男は無言でリズベットの差し出した赤い剣を受け取ると、片手でヒュヒュンと振って、首を傾げた。

「少し軽いかな?」

「使った金属がスピード系の奴だから……」

「うーん」

男はどうもしっくりこないという顔でなおも数回剣を振っていたが、やがてリズベットに視線を向けると言った。

「ちょっと、試してみてもいいかい?」

「試すって……?」

「耐久値をさ」

男は左手に下げていた自分の剣を抜くと、店のカウンターの上にごとりと横たえた。その前に立ち、右手に握ったリズベットの赤い剣をゆっくり振りかぶる。

男の意図を察したリズベットは慌てて声をかけた。

「ちょ、ち
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ