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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
リズベット武具店
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「わあ、想像しなくていいよー」
「まあ、そのうち会わせてもらえると期待しましょう。ついでにその人の相棒とやらにも。でもそういうことなら、ウチの宣伝、よろしく!」
「リズはしっかりしてるねぇホント。紹介はしとくけどね。……あ、やば、早く
研磨
(
けんま
)
お願い!」
「あ、はいはい。すぐに
研
(
と
)
ぐからちょっと待ってて」
リズベットはアスナのレイピアを握ったまま立ち上がると、部屋の一角に備えられている回転砥石の前に移動した。
赤い鞘から細い剣を抜き出す。武器カテゴリー《レイピア》、固有名詞《ランベントライト》、リズベットが今まで鍛えた剣の中でも最上級の名品のひとつだ。今手に入る最高の材料、最高のハンマー、最高の金床を使っても、ランダムパラメーターのせいで出来上がる武器の品質にはばらつきがある。これほどの剣が打てるのは3ヶ月に1本がいいところだろう。
刀身を両手で支え、ゆっくり回転する
砥石
(
といし
)
に近づいていく。武器の研ぎ上げにも特にテクニックのようなものは必要なく、一定時間砥石に当てれば完了するのだけれど、やはりおざなりに扱う気にはなれない。
柄から先端に向かって丁寧に刀身を滑らせる。涼しげな金属音と共にオレンジ色の火花が飛び散り、それと同時に銀色の輝きが
蘇
(
よみがえ
)
っていく。やがて
研磨
(
けんま
)
が完了した時には、レイピアは朝の光を受けてキラキラと透き通るようなクリアシルバーの色合いを取り戻していた。
剣を鞘にぱちりと収め、アスナに投げ返す。彼女が同時に弾いてきた100コルを指先で受け止める。
「毎度!」
「今度アーマーの修理もお願いするわね。じゃ、わたし急ぐから、これで」
アスナは立ち上がると、腰の剣帯にレイピアを吊った。
「気になるなぁー。あたしもついて行っちゃおうかな」
「えー、だ、だめ」
「ははは、冗談よ。でも今度連れてきなさいよね」
「そ、そのうちね」
パタパタと手を振って、アスナは逃げるように工房から飛び出していった。リズベットは1つ大きく息をすると、再び椅子に腰掛けた。
「……いいなぁ」
ふと口をついて出た台詞に、思わず苦笑い。
この世界に来て1年半、生来あまりくよくよしな性質のリズベットは商売繁盛だけに情熱を傾けてここまでやってきたが、鍛冶スキルをほぼマスターし、店も構え、このところ目標を見失いがちなせいか、時々人恋しくなってしまうことがなくもない。
アインクラッドは絶対的に女の子が少ないので、今まで口説かれたことはそれなりにあるが、何だかその気になれなかった。やっぱり自分から好きになった人がいいと思う。そういう意味では、リズベットはアスナのことが正直羨ましい。
「あたしも《素敵な出会い》のフラグ立たないかなぁー」
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