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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
リズベット武具店
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空を経てキリトが着地した時には、ドラゴンのHPバーは3割以上減少していた。

圧倒的だ。ありうべからざる戦闘を見た衝撃で、背中にぞくぞくするものが走る。

ドラゴンは、地面のキリト目掛けてアイスブレスを吐いたが、今度はダッシュで回避して再びジャンプ。重低音を響かせながら、単発の強攻撃を次々と叩き込む。その(たび)にドラゴンのHPが、ガクン、ガクンと減少していく。

HPバーは、たちまち黄色を取り越して赤へと突入した。後もう1、2撃で決着がつくと思い、リズベットは水晶柱の陰から一歩踏み出した。

その途端。背中に眼でもついているかのように、キリトが叫んだ。

「バカ!!まだ出てくるな!!」

「なによ、もう終わりじゃない。さっさとカタを……」

リズベットが声を上げた、その時。

一際高く舞い上がったドラゴンが、両の翼を大きく広げた。それが、音高く体の前で打ち合わされると同時に、龍の真下の雪がドバッ!と舞い上がった。

「………!?」

思わず立ち尽くしたリズベットの数メートル前方で、地面に片手剣を突き立てたキリトが何かを言おうと口を開いた。だがすぐにその姿は雪煙に包まれ、次の瞬間、リズベットは空気の壁に叩かれてあっけなく宙に吹き飛ばされた。

しまった__突風攻撃!

空中でクルクル回りながら、自分で口にしたドラゴンの攻撃パターンを今更のように思い出す。だが幸い、攻撃力自体はさほどないようで、ダメージはほとんど受けていない。両手を広げ、着地体制を取る。

しかし……雪煙が切れた、その先に、地面はなかった。

山頂に開いていた巨大な穴。リズベットはその巨大な穴の真上に吹き飛ばされてしまったのだ。

思考が停止する。体が凍りつく。

「嘘……」

無意識のうちにそんな一言だけを呟きながら、右手を虚しく宙に伸ばす。その指先を、黒革のグローブに包まれた手が、ギュッと掴んだ。

リズベットは、半ば焦点を失っていた両眼を見開いた。

「………!!」

遥か遠くでドラゴンと対峙していたキリトが、凄まじい速度のダッシュからためらいなく宙に身を躍らせ、左手でリズベットの手を掴んだのだ。そのままグイッとキリトの胸に引き寄せられる。いったん離れた腕がリズベットの背に回り、固く包み込む。

「掴まれ!!」

キリトの叫び声が耳元で響いて、リズベットは夢中で両手を体に回した。直後、落下が始まった。

巨大な縦穴の中央を、2人は抱き合ったまま真っ直ぐに落ちていく。風が耳元で唸り、服がバタバタとはためく。

もし穴がフロアの表面ギリギリまで続いているなら、この高さから落ちたら間違いなく死ぬ。そんな思考が頭を掠めたけれど、とても現実の出来事とは思えなかった。ただ呆然と、遠ざかっていく白い光の円
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