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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
愛情=狂気
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、ジャリ、という新たな靴音が聞こえた。膝上までを包む、艶消しの黒いポンチョ。目深を伏せられたフード。だらりと垂れ下がる右手に握られてるのは、中華包丁のように四角く、血のように赤黒い刃を持つ肉厚の大型ダガーだ。

彼らこそ、アインクラッドに於ける最大級の恐怖、殺人ギルド《ラフィン・コフィン》の幹部、毒ナイフ使いの《ジョニー・ブラック》、骸骨マスクを付けたエストックの達人《赤目のザザ》、そしてギルドリーダーであり、包丁使いの《PoH(プー)》。

結成されたのは、SAOというデスゲームが開始されてから1年後のことだ。それまでは、ソロあるいは少人数で取り囲み、金やアイテムを強奪するだけだった犯罪者(オレンジ)プレイヤーの一部が、より過激な思想の元に先鋭化した集団。それこそが《ラフィン・コフィン》なのだ。

己が絶対絶命の危地にあることを認識しながらも、シュミットは思考の半分で、どうしてコイツらが、と疑問だけを繰り返した。

確かに、殺人ギルドのスリートップが、こんな下層のフィールドを理由もなくうろつくはずがない。

つまり、聖竜連合の幹部であるシュミットがいると知ってて襲ってきたということだ。

丸太のように地面に転がったままのシュミットを見下ろしたPoHが小さく首を傾げた。

「さて……、どうやって遊んだものかね」

「あれ!あれやろうよヘッド!」

即座にジョニー・ブラックが甲高い声で陽気に叫んだ。

「《殺し合って、生き残った奴だけ助けてやるぜ》ゲーム!」

「ンなこと言って、お前この間結局残った奴も殺しただろ」

「あー!今それ言っちゃゲームにならないっすよヘッドぉ!」

緊張感のない、しかし悍ましいやり取りに、ザザがエストックを掲げたままシュウシュウと笑った。

ここに来て、ようやく現実的な恐怖と絶望が背筋を這い登ってきて、シュミットは思わず眼を瞑った絶望に彩られたその時……。

「そこまでだ」

突然、何者かの声が放たれ、鋭い深呼吸でPoHが部下2人に警告した。ジョニーが毒ナイフを構えながら飛び退り、ザザがエストックをいっそう深くヨルコとカインズの首元に突きつける。

そして数秒後、サッ、サッ、という落ち葉を踏む靴音が、林の奥から聞こえてきた。霧のせいでよく見えないが、少年らしき人影が見えてきた。

足音を立てながら1歩ずつ近づき、林と霧の中から段々とその姿を現した少年は、頭に被ったフードを右手で掴み取り、堂々と自分の素顔を(さら)した。

先ほどのフードが付いた紺色の半袖ロングコート、顔の右頬には2本の傷痕。

下半身には黒い長ズボンを履き、後ろ腰には片手剣を収めた鞘を装備している。両手にはグローブ、そして両腕には金属プレートが付いた籠手(こて)を装着している。西洋風忍
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