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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
幻想の復讐
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った物に(あら)ず、つまり自作アイテム他、とKoBサブリーダー様はのたまったのだ。

キリトはたっぷり10秒ほども放心してしまってから、やばい何か言わなきゃ、と軽めのパニックに見舞われた。

「え……ええと、それはその、何と言いますか……が、がつがつ食べちゃって勿体(もったい)なかったな。あっそうだ、いっそのことアルゲードの市馬でオークションにかければ大儲けだったのになあハハハ」

ガツン!とアスナの白革ブーツがキリトの座る椅子の脚を蹴り飛ばし、キリトは背筋を伸ばして震え上がった。

その拍子に。

「あ……あ、ああぁ!」

キリトは手を滑らせ、持っていたバゲットサンドを地面に落としてしまった。落とした途端に耐久値がゼロになってしまい、バゲットサンドはポリゴン片となり、砕け散った。

「言っておきますけど、おかわりはありませんからね」

「うっ……そんな……」

アスナの言葉を聞くなり、キリトは膝に手を付いてうな垂れた。その姿に憐れみのようなものを覚えたが、そもそもキリトが変な事を言ったのが発端。自業自得だ。

不意に俺は、バカだ、と内心で呆れていた。

その寸前__。

砕けたバゲットサンドのある一点に、思考が吸い寄せられた。

「……ん……?」

呟き、先ほどバゲットサンドが落ちた場所に慌てて眼を向けた。

脳内に渦巻く《事件》の記憶が、まるでパズルピースのように組み合わさっていく。

「そうか……そういうことだったのか」

(あえ)ぐように口走ると、キリトとアスナが途惑いともどかしさを含んだ声を発した。

「な、何よ?」

「何か、気づいたのか?」

記憶というピースが組み合わさり、結論というパズルが完成した。

声を喉から押し出しながら、俺は答えを放った。

「《圏内殺人》……そんなもの、最初から存在しなかったんだ」











彼女の復讐から逃れるには、もう手段は1つしかない。

時刻は22時を回り、シュミットは第19層《十字の丘》に転移した。小さな丘の上、その場所は当然ながら《圏外》であり、犯罪防止コードも適用しない。あの黒衣の死神から逃れるためには、もうこれしか方法が思いつかなかった。

足を引きずるようにして丘の天辺まで登ったシュミットは、頂上に1本だけ伸びる捻じくれた低木の下にある、今は亡き女性剣士《グリセルダ》の墓にガクリと跪き、這いずるようにして墓石に近づいた。

ありったけの意思を振り絞って口を開いた。

「すまない……悪かった……許してくれ、グリセルダ!俺は……俺は、まさかあんなことになるなんて思ってなかった……あんたが殺されちまうなんて、予想してなかったんだ!!」

「本当に……?」

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