暁 〜小説投稿サイト〜
Sword Art Rider-Awakening Clock Up
瞬殺
[4/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
内PKを実現するために、継続ダメージがどうしても必要だった……そう思えるのよ」

「確かに……妙な点だ」

頷いてから、しかし俺はおもむろにかぶり振る。

「だが、それはエギルに鑑定してもらった後に実験した。例え圏外で貫通武器を刺しても、圏内に移動すればダメージは止まる」

そう。

俺は一度、カインズを殺したあの黒い槍を、圏外で自分の手のひらに刺したのだ。結果は、HPが減少し圏内に戻ればダメージが止まるだけ。HPが減ったこと以外、死に(いた)るようなことは何も起きなかった。

キリトとアスナには内緒でやったため、後になってアスナにばれてしまい、怒りを(あらわ)にして叱られた。だが俺は相変わらずの冷徹さで「俺の命だ、どう使おうが俺の勝手だろ」と言い返してやった。

今でも時々思い出す記憶のため、アスナもしばらくの間は俺を見張るような目線を送ってきた。だが今は事件の話の最中であるため、《システム上の抜け道》に懸命だった。

「なら……《回廊結晶》はどうなの?あの教会の小部屋を出口に設定したクリスタルを用意して、圏外からテレポートしてくる……その場合も、ダメージは止まるのかしら?」

「止まるとも」

再び、ヒースクリフが切れ味鋭く即答した。

「徒歩だろうと、回路によるテレポートだろうと、あるいは誰かに放り投げられようと、圏内……つまり街の中に入った時点で、《コード》は例外なく適用される」

「ちょっと待った。その、《街の中》ってのは、地面や建物の内部だけか?上空はどうなる?」

ふと、奇妙な空想に(とら)われてキリトは訪ねた。

あのロープ。槍に貫かれたカインズの首にロープを掛け、地面に触れないよう吊り上げたまま回廊を通して教会の窓からぶら下げる……?

これには、さしものヒースクリフもやや迷った様子を見せた。

しかしほんの2秒後、(たば)ねられた長髪(ちょうはつ)がフワリと横に揺れた。

「いや……、厳密に言えば、《圏内》は街区の境界線(きょうかいせん)から垂直に伸び、空の(ふた)、つまり次層の底まで続く円柱状の空間だ。その三次元座標に移動した瞬間、《コード》はその者を保護する。だから、仮に街の上空100メートルに回廊の出口を設定し、圏外からそこに飛び込んでも、落下ダメージは発生しないことになる。大いに不快な神経ショックを味わうことにはなるが」

「へぇーっ」

キリトとアスナの2人が異口同音に嘆声(たんせい)を漏らした。

《圏内》エリアの形状にではない。そんなことまで知っているヒースクリフの博覧強記ぶりに対してだ。ギルドマスターというのはそこまで勉強しなきゃ務まらないのか、と思いかけたが、脳裏に刀使いの無精ヒゲ面が浮かび即座に否定する。

しかし……


[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ