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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
瞬殺
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の道を行き交うプレイヤー達は、俺を敏捷力(びんしょうりょく)自慢の痛いパフォーマーか何かと思っているだろうが、どうでもいいことだ。半袖ロングコートの(すそ)をなびかせ、夕闇を切り裂いてジャンプを続ける。

フーデッドローブの暗殺者は、逃げる、あるいは攻撃する気配も見せず、肉薄(にくはく)する俺をただジッと眺めているようだった。双方を(へだ)てる建物があと2つとなった時、不意に暗殺者はの右手が動き、ローブの(ふところ)へと差し込まれた。俺は相手がスローイングダガーを投げてくるかと思い、剣を正面に構えた。

しかし。

引き出された手に握られていたのは、スローイングダガーではなかった。宵闇(よいやみ)の底で、見慣れたサファイアブルーが鋭く(きら)めいた。転移(テレポート)結晶(クリスタル)

「くそっ!」

俺は毒づき、疾駆(しっく)しながら左手でベルトから投げ針を3本同時に抜いた。振りかぶり、一息に投擲(とうてき)する。ダメージが目的ではなく、反射的な回避動作を取らせてコマンド詠唱(えいしょう)を遅らせる狙いだ。

だが相手は憎たらしいまでに落ち着いていた。銀のライトエフェクトを引いて襲い掛かる3本の針を恐れる様子もなく、悠然(ゆうぜん)と転移結晶を掲げる。

フーデッドローブの寸前で、3本のピックは全て紫色のシステム障壁に(はば)まれ、空しく屋根に転がった。俺はせめて、相手の音声コマンドを聞き取ろうと耳を()ませた。行き先がわかれば、結晶で追跡することができる。

しかし目論みは、今度も裏切られた。まさにこの瞬間、マーテンの街全体に、大ボリュームの鐘の音が響き渡ったのだ。

俺の耳……正確には聴覚(ちょうかく)()は、午後5時を告げる多重サウンドに大部分を占領されて、殺人者が最低限の音量で発したコマンドを捉えることができなかった。青いテレポート光が(ほとばし)り、あと通り1つをを隔てたところまで肉薄した俺の視界から、漆黒のフーデッドローブ姿は呆気なく消え去った。

「………ッ!!」

俺は声にならない叫びを上げ、右手の剣を、3秒前まで奴が立っていた場所へと叩き付けた。紫の光が飛び散り、視界の中央に【Immortal Object】のシステムタグが無表情に点滅した。

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