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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
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え。グリセルダさんは、とても強い剣士で……と言っても中層での話ですけど……美人で、頭もいい人でした。グリムロックさんは、いつもニコニコしてる優しい鍛冶屋さんで、とても仲のいい夫婦だと、いつもギルドのみんなで言ってました」

この先は、重い空気を流すような口調になった。

「でも……グリセルダさんが死んだことを知った直後からは、とても(すさ)んだ感じになっちゃって……ギルド解散後は誰とも連絡を取らなくなっちゃったんです。だから、今どこにいるのかもわからないんです」

「……じゃあ、グリムロックさんもショックだったでしょうね。最愛の人を殺されてしまって」

アスナの呟きに、ヨルコはぶるっと身体を震わせた。

「はい。もし、昨日の事件の犯人が、グリムロックさんなら……あの人は、指輪売却に反対した3人を、恨んでいるでしょうね」

わずかに視線を逸らしたヨルコは、思いがけない言葉を放った。

「……実は……指輪の売却に反対した、3人のうち2人は……私とカインズなんです」

それを聞いた瞬間、3人は思わず身体を震わせ、自分達の掛ける椅子が揺れた。

「なら、残りの1人は誰だ?」

「《シュミット》という男です。今は攻略組の、《聖竜連合》に所属していると、聞きました」

「シュミット……」

「どこかで聞いた事のある名前ね」

キリトとアスナは首を捻りながら、聞き覚えのあるその名前を思い出そうとした。

「ランス使いの大柄な男。聖竜連合のディフェンダー隊でリーダーを務めている奴だ」

俺の説明を聞いた途端、2人の記憶に残っていたシュミットの顔が、脳裏に浮かんだ。

「……ああ、あいつか」

「シュミットをご存じなんですか?」

「まぁ、ボス攻略で、たまに顔を合わせる程度だけど」

ヨルコが身体を少し前に倒し、顔を前方と横側に近づけ、言った。

「シュミットに会わせてもらうことはできないでしょうか? 彼が今回の事件のことを、まだ知らないとしたら、彼も……カインズのように……」

その言葉を聞いた瞬間、すぐさまアスナが返答する。

「わかりました。聖竜連合にいるわたしの知り合いに頼んでみるわ」

アスナの横顔に視線を移して、キリトが続けた。

「なら、ヨルコさんを宿屋に送らないとな」

次いで、ヨルコに視線を移し替えた。

「ヨルコさん、俺達が戻るまで、絶対に宿屋から外に出ないでくれ」

「……はい」

ヨルコは、ゆっくりと頷きながら返事をした。





3人は、ヨルコを元の宿屋に送り届けた後、数日分の食料とアイテムを渡して絶対に宿屋から出ないよう言い含めた。

せめてもの配慮として、宿屋でもっとも広い三部屋続きのスイートに移動してもらい、料金も
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