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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
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今日はこれで閉店だ」

えーっ、という客の不満な声に、(たくま)しい体をペコペコ縮めて謝罪しつつ全員を追い出し、店舗の管理メニューから開店操作を行う。

カオス極まる陳列棚(ちんれつだな)が自動で収納され、ギーバッタンと表の鎧戸(よろいど)が閉まったところで、エギルはようやく振り向いた。

「あのなぁネザーよう、商売人の渡世(とせい)は一に信用二に信用、三、四が無くて五で荒稼ぎ……」

怪しげな警句(けいく)は、白い騎士服に身を包んだプレイヤーを見た瞬間フェードアウトした。禿頭(とくとう)の下回りを囲む(ひげ)をプルプル震わせて棒立ちになるエギルに、アスナは清楚(せいそ)な笑顔と共に頭を下げた。

「お久しぶりです、エギルさん。急なお願いをして申し訳ありません。どうしても、あなたの力を貸してほしいんです」





雑貨屋の2階で事件のあらましを聞いたエギルは、さすがに事の重大さを察したかのようで、突き出た()(りょう)の下の両眼を鋭く細めた。

「圏内でHPがゼロに……?デュエルじゃないというのは、確かなのか?」

太いバリトンで唸る巨漢(きょかん)に、椅子に体を預ける俺はゆっくり頷く。

勝利者(ウィナー)表示を発見できなかった。あれだけの観衆の中で誰も発見できなかったのはおかしいが、今はそうとしか考えられない」

「仮にデュエルだとしても、飯を食いに来た場所でデュエルの申し込みを、ましてや《完全決着モード》を受諾するなんてあり得ない」

「直前までヨルコさんと歩いていたなら、《睡眠PK》の線もないしね」

小さな丸テーブルの上のマグカップを揺らしながら、アスナが補足する。

「だが、突発的デュエルにしては遣り口が複雑すぎだ。事前に計画されたPKなのは間違いない。そこで、お前の《鑑定スキル》の出番というわけだ」

俺はウィンドウを開き、アイテムストレージからまずカインズを吊るしたロープを実体化させ、エギルに手渡した。

テーブルの脚に結束(けっそく)されていた方の先端は当然回収した時に解けているが、その反対側はまだ大きな輪になったままだ。

エギルはその輪っかを目の前にぶら下げ、嫌そうな顔で鼻を鳴らすと、太い指でタップした。

開かれたポップアップウィンドウから、《鑑定》メニューを選択する。スキルを持たない3人がそれをしても失敗表示が出るだけだが、商人のエギルなら、ある程度の情報を引き出せるはずだ。

果たして巨漢(きょかん)は、ウィンドウの中身を、太い声で解説した。

「……残念ながら、プレイヤーメイドじゃなくNPCショップで売ってる(はん)(よう)(ひん)だ。ランクもそう高くない。耐久度(たいきゅうど)は半分近く減ってるな」

俺はあの恐ろしい光
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