第一章 ハジマリ
第12話 VSジャッジメント――違和感
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松風選手とフェイ選手の必殺シュート《エクストリームラビット》が見事アビス選手の守りを破壊! テンマーズ、同点ですっ!』
アルの言葉と共にスコアボードには1-1の文字が刻まれる。
「やっと追いついた……!」そんな安堵と嬉しさから、自然とガッツポーズをする天馬。
後ろを向くと、フェイとアステリが嬉しそうな様子で駆け寄ってきていた。
「フェイ、アステリっ!」
「やったね、天馬!」
「二人共凄い連携だったよ。さすがだねっ」
そうアステリにおだてられ、天馬は嬉しい様な恥ずかしい様な笑顔を浮かべた。
フェイも「いや〜」と照れ笑いをしている。
「そんな事で喜べるなんて……」
不意に聞こえた嫌味たっぷりのその言葉に振り返ると、その声の主はいた。
「ずいぶんオメデタイんだね、君達」
「……カオス……」
瞬間、天馬達はキッと眉をひそめカオスを睨みつけた。
そんな彼等の表情を嘲笑いながら、カオスは言葉を続ける。
「たった一点でそんなに喜んじゃうなんてさ。よかったねぇ、“まぐれ”で入って」
「なんだと……っ!」
その言葉を聞き、アステリは今まであったカオスへの怒りが増していくのを感じ睨みを強くする。
――コイツはどれだけ他人を見下せば気が済むんだ……っ
そんな彼の心情に気付いたのか、フェイがアステリの肩を叩く。
振り返るとフェイは首を横に振り「相手のペースに乗ってはいけない」と耳打ちをして、カオスの方を見つめた。
「たかが一点、されど一点だよ。そんな風に言っていると、今に足元すくわれるよ?」
フェイの言葉にカチンと来たのか、カオスは一瞬眉をひそめるとすぐに「あぁそうかい」と後ろを向いた。
「まぁ、君等が何をしようと僕の勝ちは揺るがないから良いけどね……」
そう吐き捨てると、カオスは仲間の元へと歩いていく。
その途中、チラッと見えたカオスの顔色が悪いような気がして、天馬は首を傾げる。
(…………気のせい……かな……)
自分達もポジションに戻ろうとした時、スタジアム内に笛の音が鳴り響いた。
どうやら前半が終わったみたいだ。
「前半終了か……じゃあ、ボク等もベンチに戻ろうか」
「……そうだね」
そう歩きだそうとした時、ベンチに向かって歩くカオス達を見つめるアステリに気づいて声をかける。
「アステリー? どうしたのー?」
「! なんでも無いよー! …………」
天馬の声にそう返事をすると、アステリは駆け足でベンチに向かっていった。
――何か気になる事でもあるのだろうか……。
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