暁 〜小説投稿サイト〜
色を無くしたこの世界で
第一章 ハジマリ
第11話 VSジャッジメント――覚醒するソウル
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
『さぁ! テンマーズのキックオフで試合再開ですっ!』

 ホイッスルの音と共に、キモロからパスを受けたフェイが上がっていく。
 が、すかさずジャッジメントの選手がディフェンスに入る。

「行かせません!」
「っ……天馬っ!」

 進行方向を阻まれたフェイは、後方の天馬にパスを出す。
 パスを受け取り、前へと進む天馬の目に、先ほど自分からボールを奪った男が映った。
 男は天馬からボールを奪わんと、こちらに向かって走ってきている。

「行かせないっ」
「っ……」

 さっきと全く同じ状況に、天馬の頭に嫌なビジョンが浮かぶ。
 ボールを奪われ、点を決められるビジョンが。
 天馬の中で様々な気持ちが乱雑する。
 恐怖。
 不安。
 緊張。
 焦り。
 自然と息が荒くなり、動機がする。

――でも、だからこそ……

「負けられないっ……!!」
「!」

 瞬間、天馬の周りに柔らかい風が吹き始める。

「そよかぜステップS!」
「な……っ!?」

 周りに吹いた風を纏い、天馬は身軽なステップで相手を抜き去る。

「よしっ!」
「くそ……っ!」
『松風選手、得意の《そよかぜステップ》でデルタ選手を抜き去ったー! そしてそのままゴール前で待つフェイ選手にパスだぁー!』

 天馬からのパスを受け取ったフェイはオレンジ色のオーラを発すると、その姿を青い髪と褐色色の肌を持つ少年へと変化させた。

「来い」
「いくよっ!」

 シュート体勢に入ったフェイの背後には、白と青の胴体を持つ巨大な恐竜が出現し、大きな唸り声をあげフェイのシュートと共にゴールへと食らい付いていく。

「真・王者の牙ッ!!」
『ミキシトランスをしたフェイ選手の必殺技が炸裂っ!! アビス選手に向かっていきますっ!!』
「いっけぇー!!」

 青い牙の形のオーラを纏ったシュートが、ジャッジメントのゴールに向かって突き進む。
 フェイのシュートは前見た時よりもかなり威力が増している。
 「これなら……」と思ったのもつかの間。
 アビスと呼ばれた女性ゴールキーパーは退屈そうに息を吐きだし、言い放つ。

「なんだ。こんなモンか……」
「!」
「見せてあげるね。僕達、『Blood irregular(ブラッドイレギュラー)』の力」

 そう笑うとアビスは両手をXの形にクロスさせ、シュートに向かって駆けだす。

「ゴッドハンドX!!」

 アビスは赤いイナズマを帯びた巨大な手を発動させると、そのままフェイのシュートを抑え込む。
 最初の内は勢いがあったシュートも段々とそれを失い、ついには完全に停止してしまった。

『アビス選手! フェイ選手の強力なシュート《王者の牙》を難なく止めてしまったぁ!
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ