第一章 鉄仮面の彦星
番外編 アウラの門出
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宇宙刑事過程の数百年に渡る歴史の中で、初めての超超超快挙なんだからな!」
「わかってますよ! ……しっかし、ある意味奇跡ですよねぇ。女性ながら男性顔負けの強さを持つ上に……とんでもない絶世の美少女ときた!」
「さらにさらに、あの全宇宙でも指折りの美しさって評判の、エリュシオン星の第一王女! こんなの注目の的にならねぇはずがねぇわな!」
「……けど、なんでそんなお姫様がよりによって宇宙刑事なんかになったんでしょうなぁ」
「そんなの知るかよ。……おい、準備しとけ。そろそろ出航予定時刻だ」
◆
「姫様! アウラ姫様!」
「……なんだ、アルクじゃない。どうしたの?」
扉の向こうから聞こえてくる喧騒にため息をつくアウラが、ドックに続く入り口に近づいた時。ふと、背後から響いてきた呼び声に、彼女は大して驚く気配もなく静かに振り返る。
その視線の先には――荘厳な機械仕掛の甲冑で全身を固めた老騎士が、険しい面持ちでアウラを射抜いていた。色が全て抜け落ちた白髪と、顔に残された古傷の跡が、古強者としての風格を滲ませている。
だが、その身に纏われた鎧は銀河連邦警察で正式採用されている「コンバットスーツ」や「バトルスーツ」には該当していない。――明らかに、銀河連邦警察とは異なる組織の戦闘服である。
アルクと呼ばれたその老騎士は、物々しい足音を立ててアウラに近寄ろうとする。そんな彼の顔を、少女は剣呑な眼差しで見つめた。
「どうした……ではありませぬ! エリュシオン星第一王女であらせられる貴女様が、何故このような道に進まれるのか! 今一度、お考え直し下され!」
「……この期に及んで顔を見せた、ということは激励の言葉でもくれるのかと思っていたのだけれど……違ったようね」
「姫様! 貴女様はエリュシオン星の未来を担われるお方! このような危険な真似事をさせられるはずがありませぬ! さあ、小官と共にエリュシオン星へ帰りましょうぞ!」
「……」
籠手に固められた手を伸ばし、共に母星へ帰ろうと誘う老騎士。その真摯な瞳を前にしたアウラは、彼の想いに感服したように、その手を握る。
「おぉ……姫様! わかってくださいまッ――!?」
その対応に、老騎士が頬を綻ばせた瞬間。
彼の視界は激しく上下に回転し――重厚な甲冑に固められたその巨体が、鉛色の床に打ち付けられてしまった。
その反動による物理的な衝撃と、何をされたか理解が追いつかない、という精神的な衝撃により、老騎士は言葉を失ったまま口を開いていた。
一瞬にして握った手を取り、腕をねじり上げて投げ飛ばされたことにも、アルクは気づかないままだったのだ。そんなエリュシオン星騎士団長の姿を一瞥したアウラは、何事もなかったかのように踵を返す。
「ひ……
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