第一章 鉄仮面の彦星
第9話 闇を纏う剣
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薄暗い地下通路の中で、一つのライトが光り輝いている。
シェードの地下研究所に向かうバイクのエンジン音が、地下一帯に響き渡っていた。
(エチレングリコール怪人は、恐らくAPソルジャーのデータを持ち帰っているはず。このまま放っておけば、更に多くの人間がAPソルジャー……つまりシェードの兵士となってしまうだろう。なんとしても、阻止しなくては……んッ!?)
その時。前方から突然、謎の液体が飛んで来た。
「なんだ!?」
咄嗟に頭を下げ、顔面への直撃をかわす。その後ろでは、何かが焼け爛れるような音が響いていた。
「毒液かッ!」
薄暗い地下通路であるため、あまりはっきりとは見えないが――間違いなくエチレングリコール怪人が待ち伏せしていた。
「俺達の洗脳が解けてるって事、お見通しってことか!」
サダトはバイクから飛び降りて怪人と相対すると――腰に装備されたベルトに「AP」と刻まれたワインボトルを右手で装填する。バックルに付いているレバーが、それに応じて起き上がってきた。
『SHERRY!? COCKTAIL! LIQUEUR! A! P! SHERRY!? COCKTAIL! LIQUEUR! A! P!』
その直後、ベルトからリズムを刻むように電子音声が流れ出す。その軽快な音声を他所に、サダトは左手の人差し指と中指で「a」の字を描くと――最後に、その指先を顔の正面に立てた。
「……変身ッ!」
そして――その叫びと共に右手でレバーを倒すと、バックルのワインボトルが赤く発光を始める。
その輝きが彼の全身を覆うと――そこには南雲サダトではない、異質な姿の戦士が立っていた。
『AP! DIGESTIF IN THE DREAM!!』
APソルジャーとしての姿に変貌した彼は――意を決するように、胸から己の得物を取り出した。
「らああぁァッ!」
サダトはAPナイフを構えると、眼前で待ち構えているエチレングリコール怪人に向かっていった。
「裏切り者めが――覚悟はできておるのだろうなァァァッ!」
絶え間ないエチレングリコール怪人の毒液攻撃をかい潜り、サダトはAPナイフを振りかぶる。金属音と共に、彼の攻撃が命中した。
だが――相手に効果はさほど見られない。
「くッ!」
「馬鹿めが! No.5を基にしているとはいえ、所詮は量産型。百戦練磨の俺に敵うものか!」
あっという間に喉首を掴まれ、サダトは腕一本で投げ飛ばされてしまった。
「うわああッ!」
壁に激しくたたき付けられ、地面に落下するサダト。
そこ
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