第一章 鉄仮面の彦星
第9話 闇を纏う剣
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へ追い打ちを掛けようとエチレングリコール怪人はじりじりと歩み寄る――が。
「トアァッ!」
「ぐおッ……!?」
その一瞬を狙い、意表を突いて立ち上がったサダトの一閃により、すれ違いざまに脇腹を切り裂かれてしまった。エチレングリコール怪人の脇腹に、微かな傷跡が生まれる。
「貴様ァァァ! 消耗品の分際で、どこまで俺を愚弄するつもりだァァァァッ!」
追撃の一閃を刻もうと振り下ろされた剣を片手で掴み、その剣を持っていたAPソルジャーの顔面に、毒液が滴る鉄拳が炸裂した。
「ぐがぁあッ!!」
エチレングリコール怪人の毒液を帯びたパンチは、その衝撃力以上のダメージを齎していた。
だが。顔面から全身に伝わる激痛にのたうちまわりながらも、サダトは立ち上がる。
そして――再び剣を振りかざし、エチレングリコール怪人に踊り掛かって行った。
「無駄なことを。さっさと死を選んでおれば、楽になれたろうに」
「悪いが先約があるんだ。必ず生きて帰るってな!」
「……抜かせェエェッ!」
だが――サダトの奮闘も虚しく、彼は再び吹っ飛ばされてしまう。今度は強烈な回し蹴りを浴び、更に激しく同じ壁に打ち付けられた。
「ぐはああァァァッ!」
しかも、そのショックで変身が解けてしまい、彼は元の姿に戻ってしまった。
「しっ、しまっ……た……!」
自分の目に肌色の手の平が映った事から、サダトは変身が解けてしまった事を悟る。
「さて。ではそろそろ、俺の毒液を心行くまで堪能して貰おうか」
「ぐっ……!」
そこへ歩み寄るエチレングリコール怪人は――歪に嗤い、とどめの瞬間を迎えようとしていた。変身を解かれては、勝ち目もない。
為す術なく、サダトが死を遂げようとした――その時。
「うっ――あ!?」
同じ箇所に二度も、強烈な衝撃が加わったことで。今度は、その壁が音を立てて崩れ始めた。
「わ、ぁぁあぁああッ!?」
壁にもたれかかっていたサダトは体重を乗せる先を失い――崩れた先にある奈落へと落ちていく。その闇の中へと消えていく裏切り者を、エチレングリコール怪人は冷酷に見下ろしていた……。
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