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仮面ライダーAP
第一章 鉄仮面の彦星
第4話 束の間の……
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すこともできる。彼女は改造人間にされた人々を救える、唯一の希望だ。絶対に守らねばならない。

(……!?)

 その思いを新たにした時。得体の知れない気配の数々が、サダトの第六感に警鐘を鳴らした。その殺気を後方に察知した彼は、素早くハンドルを切ると進路を変え、自宅から遠ざかって行く。
 彼の行方を追う数台のバイクは、彼の背をライトで照らしながら、付かず離れずといった距離で彼を追跡する。

(来たな……!)

 そんな追っ手を一瞥したサダトは、行き慣れた狭い道を駆け抜け、林の中へ入り込んで行く。無理に追おうとしたそのうちの何台かは、そこで木にぶつかったりバランスを崩したりして、次々と転倒してしまった。
 狙い通りに撒いていけている。その光景から、そう確信していたサダトの前に――

「遊びは終わりだ、小僧」
「……ッ!?」

 ――悍ましい風貌を持つ怪人が、全身から粘液を滴らせ、正面から待ち構えていた。舗装されていない林の中で、相手が待ち伏せていたことに驚愕する余り――サダトは声を上げることすら出来なかった。
 そして――瞬く間にバイクを片手でなぎ倒され、サダト自身も吹き飛ばされてしまう。

「うわぁぁああぁあッ!?」

 舞い上がる身体。回転していく視界。その現象と身体に伝わる衝撃に意識を刈り取られ、サダトは力無く地に倒れ伏した。
 彼を見下ろす人体模型は――口元を歪に釣り上げ、ほくそ笑む。

「ようこそ――シェードへ」




 ――しばらく時が過ぎ。かつて青年がいた場所に彼の姿は見えず、彼の私物であるオートバイだけが残されていた。

 そして、そこにもう一台の、純白のカラーが眩しいオートバイを駆る男が訪れる。

 彼はヘルメットを外し、今や無人となったそのレーサーバイクを眺めていた。

「遅かったか……!」

 口惜しげに苦虫を噛んだ表情で、青年はバイクに駆け寄る。
 そのバイクのすぐ傍に、木の葉や草が何かに溶かされた跡があった。

 自然のものとは思えない、その痕跡。それと倒れたオートバイを交互に見遣る男は、眉を顰める。

「これは……」

 そして素早く立ち上がると――自身の愛車に跨り、弾かれるように走り出して行った。

「シェードの仕業に違いない……無事であればいいが……!」

 時は一刻を争う。彼の表情が、そう語っていた。白いジャケットを纏うその男はさらに
愛車を加速させていく。

「また一つ、尊い命が奪われようとしている……許すわけには行かない!」

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