第一章 鉄仮面の彦星
第2話 エリュシオン星から愛を込めて
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「……今の話、本当なのか?」
「信じ難いのも、無理はありません。信じられない、と仰るならば、それもやむを得ないでしょう。それでも私は、これか真実であると言わざるを得ないのです」
シェードの追っ手を振り切ったサダトと少女は、彼の下宿先であるボロアパートに身を寄せていた。
その六畳間の狭い部屋の中、ちゃぶ台を挟んで向き合う二人は、この場に似つかわしくないほどにスケールの広い話をしている。
彼女がサダトに語った話によると。
アウラと名乗ったこの少女は――なんと、遠い外宇宙からやってきた異星人「エリュシオン星人」なのだという。
シェードによって改造人間にされ、人間に戻れなくなった人々を救う為、自らの意思で地球に訪れたのだそうだ。
――シェードと言えば、かつては対テロ組織として活躍し、精鋭中の精鋭と目されていた特殊部隊。
しかし、ある時にその実力と成果が「人体改造」「洗脳手術」という非人道的行為の賜物だという事実が発覚し、組織は解散。
統率者だった人物・徳川清山も投獄されてしまったという。
だが7年前、その解散したはずのシェードが、テレビ局を占拠して、人質と徳川清山の交換を要求する事件が起きたのだ。
その件は、シェード内で起きた内紛と思しき、改造人間同士の乱闘によって鎮静したが、彼らの再来は世間を震撼させるには充分過ぎるほどだった。
さらに、シェードの非人道的行為が発覚した後も、すでに改造された被験者達は人間に戻れなくなった苦しみに苛まれ、社会問題にもなっている。
――彼女は、そんな被験者達を生身の人間に戻すために、はるばる宇宙から来たのだというのだ。
「……そういえば。アメリカやロシアにいた被験者が奇跡的に生身に戻った、なんてニュースが半年くらい前にあったっけ。あれも、君が?」
「はい。あの人達には再改造手術に成功したということにして、私のことを秘密にして頂いているんです。私の力が明るみに出れば、良くないことに利用されたりするでしょうから」
「……そういうことなら、シェードに狙われることにも説明がつく。向こうからしたら、せっかく手塩にかけて改造した被験者なのに、人間に戻されたりしたら全部の水の泡だもんな」
「えぇ。……まだメディアには知られていませんが、彼らにはばれてしまったようで――あのように、追われるようになったのです」
そこまで語ると、彼女はフードを取り――艶やかな黒髪のボブカットを靡かせ、その美貌を露わにする。
雪のように白い柔肌。くびれた腰に反して豊満に飛び出た胸に、むっちりとした臀部から太腿にかけての滑らかなライン。淡い桜色の唇に、大きく碧く煌めく瞳。
確かに、異星人と言われると思わず信じてしまいそうな――おおよそ天然の
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