暁 〜小説投稿サイト〜
仮面ライダーAP
第一章 鉄仮面の彦星
第2話 エリュシオン星から愛を込めて
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
地球人とは比にならない絶対的な美貌の持ち主であった。サダトの胸元程度しかない身長から察するに、恐らく10代であるが、そのプロポーションは到底、少女と呼べるようなものではない。

 その美しさに、思わずサダトも息を飲むが――それを悟られまいと咳払いをして、平静を装う。

「……南雲様を、このような事態に巻き込んでしまったことには……もはや、弁明の余地もありません。――申し訳、ありませんでした」
「いいさ、別に。乗りかかった船ってやつだろ? こういうの。……さて、だったらなるべく外は出歩かない方がいいな。行く先が見つかるまでは、ここにいた方が安全かも知れない」

 そんな彼女は死刑を待つ囚人のように目を伏せていたのだが――この場の空気に全くそぐわない、サダトの場違いな反応に思わず顔を上げてしまった。

「怒っては……おられないのですか? 私は、自分の勝手な都合であなた様を巻き込んで……!」
「君が追われてるのは、苦しんでる人を救ってきたから――正しいことをして来たからなんだろ? 正しい人を責めたくは、ない」
「……!」

 その言葉に、アウラは驚愕したように目を見開くと――潤む瞳を細め、口元を両手で覆う。感極まった自分の想いを、懸命に隠そうとして。
 だが彼女は、その思慕の情に嘘を付くことは出来なかった。

「よし、じゃあこうするか」
「……?」

 ふと、サダトは肘をちゃぶ台の上に乗せて、小指を立てた。その意図を察することが出来ず、アウラは小首をかしげる。

「南雲様、それは……?」
「んー、約束を守るためのおまじない、かな?」
「約束……」
「ああ。君のやることを信じる、っていう……約束」
「……」

 その目的と意義を知り、異星の姫君はほんのりと白い頬を染めて――サダトの向かいに座り、自分の小指を絡めた。

「南雲様……」
「ん?」
「私、私……出逢えた人が、あなたで良かった……」
「……そうか」

 それは、単なるおまじない。

 だが、知る者も頼る者もいないまま、孤独に救済の旅路を歩んできた彼女にとって――小指から伝わるサダトの体温は、かけがえのない温もりとなっていた。


 ……時は2016年。
 人間の尊厳を顧みない悪の組織と、孤独な愛の戦士の戦いが幕を開けて、7年が過ぎようとしていた……。

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ