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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百七十九話 雷鳴
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と、リヒテンラーデからシャンタウ星域を目指す部隊だ。

フレイア星系方面はメルカッツ副司令長官、ケスラー、ケンプ、アイゼナッハ、そして私の五個艦隊。リヒテンラーデ方面にはメックリンガー、ビッテンフェルト、ファーレンハイト、レンネンカンプの四個艦隊。指揮はメックリンガーが取っている。

「副司令長官、やはり今のところフレイア星系には敵は居ないようです」
「どうやら、貴族連合は戦力をガイエスブルクに集中したか。厄介だな」
「確かに、しかし先ずはレンテンベルク要塞です」
「うむ」

スクリーンから見るメルカッツ副司令長官の表情は落ち着いていた。あの日、ヴァレンシュタイン司令長官、意識不明の重態との報が届いた時、副司令長官の顔色は蒼白になった。

直ぐに艦隊の行動を止めオーディン周辺で警戒態勢に入ったが、司令長官の意識が戻るまでの間、メルカッツ副司令長官の表情から緊張の色が消える事は無かった。万一の場合はローエングラム伯との間で次の司令長官の座を巡って争いが起きると考えたのかもしれない。

先任はローエングラム伯だが、人望はメルカッツ副司令長官の方が厚い。それは軍上層部の評価でもあるのだろう。そうでなければ内乱が始まると共にメルカッツ提督が副司令長官になるなどありえないことだ。あれは万一の場合メルカッツ副司令長官を司令長官にするための布石だろう。


レンテンベルク要塞はフレイア星系に有る小惑星を利用して作られた要塞だ。イゼルローン要塞ほどではないが、百万単位の将兵と一万隻以上の艦隊を収容する能力がある。決して無視は出来ない

無視できない理由は他にもある。戦闘、通信、補給、整備、医療等の機能のほか、多数の偵察衛星や浮遊レーダー類の管制センター、超光速通信センター、通信妨害システム、艦艇整備施設も有り、放置して前進すれば後方でうるさく蠢動されかねないのだ。

レンテンベルク要塞を攻略し、こちらの後方支援基地とする。それがフレイア星系より侵攻する我々の最初の任務だが、要塞攻略中に貴族連合に背後を衝かれては堪らない。というわけでフレイア星系に隠れている敵は居ないか、先ずはそこから確認を取った。

アイゼナッハ艦隊を要塞正面に置き、メルカッツ副司令長官、ケスラー、ケンプ、そして私の艦隊でフレイア星系を捜索したが、敵は居なかった。つまりレンテンベルク要塞は安心して攻略できるということだ。

もっとも敵は戦力をガイエスブルクに集中しているのだろうからガイエスブルクを落とすのは容易ではないということになる。副司令長官の言う通り、厄介な事だ。

「艦隊を集結させるとしよう。アイゼナッハ提督もいささか暇を持て余しているだろうからな」
「そうですね、暇を持て余しているでしょう」

メルカッツ副司令長官の言う通り、アイゼナッハは
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