覚醒はいつも唐突に来るけど、それを支える土台があってこそ
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なんだか、イッセーの様子がおかしいな?もしかして夢渡に失敗してたか?
「イッセー、体調が悪いなら休んでいても構わないぞ」
「うぇっ!?だ、大丈夫だよ?」
「いや、どう見ても大丈夫に見えないぞ。熱でもあるのか」
額同士を当てて熱を計ってみるが、かなり熱い。39.2度といったところか。
「熱があるなら早く言え」
イッセーを横抱きにしてイッセーに振り分けている部屋まで運ぶ。
「大人しくしてろ。今、薬とかを用意してくる」
イッセーをベッドに寝かせてから部屋を出て薬とタオルと氷嚢とスポーツドリンクを用意する。部屋に戻ろうとしたところでリアスがやってくる。
「ゼオン、イッセーの看病は私がやるから皆をお願いできるかしら」
「うん?」
「女性同士のほうが問題が少なくていいでしょう」
なるほど、確かにそうだな。
「分かった。だが、これだけは運ばせてもらおう」
用意した物を持ってリアスとともにイッセーの部屋に向かい、荷物をおいてから地下へと引き返す。
ゼオンが部屋を出て気配が遠ざかったところでイッセーに話しかける。
「本気で惚れちゃったんでしょ」
私の言葉にイッセーの顔が真っ赤になる。
「イッセーも私達の中に来る?」
「あぅ、その、いいんですか?」
「いいわよ。それにゼオンの周りに人が増えるのはゼオン自身も無意識に望んでいるの」
「無意識にですか?」
「ゼオンは昔から人付き合いが苦手でね、お客さん相手になら問題ないんだけど、それ以外とは家のことがあって距離を置くことが多いの。自分の悪い噂に翻弄されている相手やその周りが傷つけられないように。だから、寂しい人生を送ってきているの。黒歌や白音の問題の件でそれが余計に顕著になったしね。だけど、その分一度懐に入った者を全力で守ろうとするの。朱乃もちょっと家族のことで問題を抱えていたんだけど、ゼオンがそれを強引に何とかしたりね。それで家族の問題は解決したんだけど、それをちょっと離れたところで寂しそうにしてたり」
「あのいつも笑顔のゼオンが?」
「まだそこまで分からないと思うけど、あれは仮面よ。本当の笑顔は滅多に見せないわ。見れたとしても夢だったと思うわ。私も両手の指で数え切れる位しか見たことがないわ。黒歌と白音は泣いている所を2回だったかしら。優しくて我慢強い人だから、どうしても溜め込んじゃうの。だから、ちょっとだけでも気が抜けるなら周りに女の子が増えてもいいの」
「部長」
「イッセー、ゼオンは鈍感だから真正面から思いをぶつけなさい。タイミングは貴女に任せるわ。ゼオンの周りにいる皆は貴女を歓迎するわ」
「ええっと、ありがとうございます?」
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