第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#6
呪縛の死線 玲瑞の晶姫VS漆黒の悪魔
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間違いでないなら、自分に電話をかける者は一人しかいなかった。
「……もしもし? どうしたのいきなり? 何か用?」
如何にも興味なさげにその深酒の美女、
マージョリーは気怠い声で通話口に告げる。
「まだ、痛飲しているのでありますか?
一体何が在ったのかは聞きませぬが、
いつまでもそのままでは名が泣くのであります」
余計なお世話と返すのも面倒なので、
美女は適当な相づちを旧知の同属に返した。
「ともあれ、アナタの扶助により無事
“あの方” と合流できたのであります。
深謝と辞儀に代えまして。
返礼はいずれよしなに」
「平身」
耳慣れた女性と王の律儀で無感情な声を聞きながら、
それは良かったわねと美女は乾いた声で返す。
「で? 久々に再会したあのチビジャリはどうだった?
フレイムヘイズとしての成長振りもそうだけど、
びっくりしたんじゃない?
まさか 『一人じゃなくて』 あんな上玉咥えてるとは
流石のアンタも想わなかったでしょ?」
「……」
無言の返答に、周囲の空気が張り詰めたのが電話越しでも解った。
いい気味と、美女は悪魔的な微笑を浮かべて酒を呷る。
通話中の人物とこの地で会ったのは本当にただの偶然だが
その者が心の底から憂慮する存在と交戦した事、
連れているミステス (便宜上彼女はこう表現した) と
並々ならぬ関係にある事は伏せておいた。
理由は特にない、ただ誰かにイジワルがしたかっただけだ。
クックとグラスを傾けながら、通話口の先であの鉄仮面が
一体どんな表情を浮かべているかを肴に美女は酒を進ませる。
「……一体、何の事でありますか?
私が合流した 「一団」 は、
マスター・ジョセフ・ジョースターを筆頭とする
“幽血の統世王” 討伐団。
種属の壁を越えた、この世の何よりも優先させるべき崇高な使命の許、
『そのような』 俗情が入り込む余地はないのであります」
論理的な接合性は一切無視して、
ただ美女の言った事を否定したい為だけに紡がれた淑女の言葉。
むきになればなるほどからかう相手に付け入る隙を与えるだけなのだが、
この場合は違った。
「……アンタいま、何て言った?」
(相手の性格上) 揚げ足取りの一つや二つくるだろうと身構えていた
通話先の淑女は、肩すかしの返答に小首を傾げる。
「 “幽血の統世王” でありますか?」
「違うッ! その前!!」
フレイムヘイズとして当然の応答は、
血気溢れる美女の声で即座に否定された。
「その “ジョセフ・ジョースター” ってジジイの他に、誰がいるの!?
まさか “カキョウイン・ノリアキ” って男が、
そこにいるんじゃないでしょうねッ!?」
唐突なマージョリーの変貌と声量に、
ヴィルヘルミナは
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