暁 〜小説投稿サイト〜
非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第33話『心配』
[4/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ない?」

「あ、何か言ったか?」

「何でもない…」


2人の肩を借りて、不格好な歩きを始めて早数秒。
廊下に出た途端に耳に入ってきた轟音は、俺のまた眠りそうな意識を覚醒させるには、十分過ぎる目覚ましだった。
ちなみにその轟音のお陰で、多少の小声は隣に居る二人にすら届かない。

俺は続けて窓の外を見る。
先程保健室で見た時計によると、まだ時間は夕方前。
なのに、空は深夜の様に真っ暗だった。廊下はその暗さとは対照的に蛍光灯が輝いて明るいので、つい「学校にお泊まりなのでは」と、内心ドキドキしてきた。


「三浦、階段だ。行けるか?」

「ちょっと辛いってのが本音だけど…」


廊下の先を曲がると、階段が目の前に立ちはだかる。
普段はただの斜面だが、怪我人の今となっては絶壁に見えた。


「じゃあここは私が背負うわ。どうせあんたは力無いし」

「おい、見くびって貰っちゃ困るぞ。俺にだってそれくらいの力はあるさ」

「あ、そう」


ふと、重心が移動するのを感じた。
どうやら、莉奈が俺に肩を貸すのを止めたようだ。
つまり、暁君だけで俺を支えてることになるんだけど…。


「ほら、早く階段上ってよ」

「うるせぇな、今やってんだろ・・・あ、でも、うぉ……やば、潰れる」

「…俺ってそんな体重あったっけ?」

「これがこいつなのよ、晴登」


俺の重さが、暁君の肩一点に集中する。
すると予想通りと言えば予想通りだけど、暁君の身体がみるみる沈み始めた。
一瞬、俺は自分の体重が常人よりあったかと疑うが、生憎筋肉すらもあまり付いていないため、どう考えても常人より軽い。
つまり、暁君は本当に非力なのだ。


「やっぱ私がやるわ。行くよ、晴登」

「あ、そんな引っ張られたら痛いって!」

「もう、ダメだ…」


半ば強制的に暁君から引き剥がされた俺は、莉奈に引っ張られて階段を上る。その乱暴さにあちこち痛むが、贅沢は言えない。
その一方で、階段の下で疲れ果てて倒れている暁君が心配だ。俺のせいではないはずなのに、なぜか心が痛い。


「暁君、何かゴメン…」


小さく、小さく呟いた。
俺は無罪だ、と心の中で思いながら。







「し、失礼しまーす…」


目立たないようにそっとクラスのドアを開ける。
見えたのは、いつもの教室の風景。雰囲気的には休み時間を連想する。
椅子に座って駄弁る皆の様子は、外の様子を微塵も気にしてないといった感じだった。

まぁ俺が教室に入った瞬間、空気が変わったけど。


「ど、どうも」


皆の視線が集まる。
静寂の中、まるでステージに立つアイドルの様なポジショニングの俺
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ